あけましておめでとうございます。たきです。
昨年12月31日、紅白歌合戦にて欅坂46は『不協和音』を披露しました。約2年ぶり、紅白では2回目の披露となることから注目を浴びました。
今日はそんな『不協和音』の歌詞の意味を考察していこうと思います。
絶対に沈黙しない
僕はYesと言わない 首を縦に振らない
周りの誰もがうなずいたとしても
僕はYesと言わない 絶対沈黙しない
最後の最後まで抵抗し続ける出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
周りの誰もがうなずいたとしても、主人公の「僕」はYesと言わず、首を縦に振りません。
周りが自分を殺し、周囲の意見に同調したとしても、主人公は自分を殺さず、最後の最後まで抵抗をし続けると意思表示をしています。
叫びを押し殺す (Oh! Oh! Oh!)
見えない壁ができてた (Oh! Oh!)
ここで同調しなきゃ裏切り者か
仲間からも撃たれると思わなかった
Oh! Oh!出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
僕ら(主人公を含め、首を縦に振った人たち)の叫びを押し殺す見えない壁ができていて、主人公を除く人たちは見えない壁に邪魔され首を縦に振ってしまいました。
「ここで同調しなきゃ僕は裏切り者なのか」と主人公は思います。
なぜなら仲間だと思っていた人達に撃たれた(攻撃された)からです。
僕は嫌だ
僕は嫌だ
出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
不協和音と言えばこのセリフ。「僕は嫌だ」です。
周りの人間に「同調しろ」「人に合わせろ」と言われ、仲間からも撃たれた主人公ですが、「僕は嫌だ」と拒否します。
不協和音を僕は恐れたりしない
嫌われたって 僕には僕の正義があるんだ
殴ればいいさ 一度妥協したら死んだも同然
支配したいなら 僕を倒してから行けよ出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
不協和音とは二つ以上の音が同時に出された時、全体が調和しないで不安定な感じを与える和音。(Google先生曰く)
主人公は不協和音を恐れません。嫌われたって主人公には主人公の正義がある。
「殴ればいいさ~倒してから行けよ」で、主人公が周囲からの圧力に屈しず、自分を貫く姿勢が見て取れます。
「僕」から「君」への問い
君はYesと言うのか 軍門に下るのか
理不尽なこととわかっているだろう
君はYesと言うのか プライドさえも捨てるか
反論することに何を怯えるんだ?出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
ここで「君」が登場しました。君は僕の仲間だった人間だと思います。
1番で「仲間から撃たれる」とありましたが、恐らくその「仲間」が「君」。
自分を殺して周囲に同調することを選んだ「君」に対し、「僕」が問いかけます。
「君はYesと言うのか」「軍門に下るのか」と。
「軍門に下る」は「争いに負ける」「降参する」という意味のようです。投降して敵陣営の軍門に入るというところから来た慣用句のようです。
つまり、主人公は「君」に降参して敵の軍門に入るのか(敵になる)、反論することに何をおびえるんだ?と問いかけます。
大きなその力で(Oh! Oh! Oh!)
ねじ伏せられた怒りよ(Oh! Oh!)
見て見ぬ振りしなきゃ仲間外れか
真実の声も届くって信じていたよ
Oh! Oh!出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
大きなその力とは、周囲の人間からの圧力。圧力によって怒りがねじ伏せられます。
適当に例えると、北朝鮮国民ですね。金正恩の圧力によって北朝鮮国民の怒りはねじ伏せられています。
そして、「見て見ぬふりしなきゃ仲間外れか」では、見て見ぬふりをしろと圧力をかけてくる周囲の人間への抵抗、反抗の意思。
いじめがそうですね。いじめられている人間を助けようとすると、自分までもがいじめの対象になる。
そして、君は敵の軍門に下っていき、主人公は「真実の声も届くって信じていたよ」と周囲に同調する君を見て残念に思います。
二度目の「僕は嫌だ」
僕は嫌だ
出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
二度目の「僕は嫌だ」ですが、一番サビ前の「僕は嫌だ」とは言葉は同じでも、込められている意味は違います。
一番サビ前は平手が言っていますが、二番サビ前は長濱ねる(現在は田村保乃)が言っていることからも分かります。
二番の「僕は嫌だ」は一番サビ前の意味に加え、仲間であった「君」が周囲に同調していくのを見て「ダメだ!」「なんでだよ!」と怒り、悲しみなどの主人公の複雑な気持ちも込められていると思います。
不協和音で 既成概念を壊せ
みんな揃って 同じ意見だけではおかしいだろう
意思を貫け! ここで主張を曲げたら生きてる価値ない
欺きたいなら 僕を抹殺してから行け!出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
一番のサビは主人公の圧力に屈しないという気持ちが前面に出ていましたが、二番のサビは主人公「僕」から「君」へのメッセージとも取れます。
既成概念とは広く社会で認められ、通用している概念、言わば「社会常識」「暗黙の了解」のようなもの。周囲に同調しないことで、この既成概念をぶっ壊せと主人公は呼びかけます。
皆そろって同じ意見だけではおかしい。絶対に「サイレントマジョリティー」もあるはずだ。
周囲に同調しないで自分の意志を貫け! ここで自らの主張を曲げ周囲に同調していたら生きている価値がない!それじゃあ命令された通りに動くだけのロボットのようだ。
「それでも僕を欺いて 敵の軍門に下るなら僕を抹殺してから行け」と君を必死に引き止めます。
「僕を抹殺してから行け」というのはかなり衝撃的な言葉ですが、それほど主人公は君に敵になってほしくないのだと思います。
ああ 調和だけじゃ危険だ
ああ まさか 自由はいけないことか
人はそれぞれバラバラだ
何か乱すことで気づく もっと新しい世界出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
しかし、君は僕を裏切り、僕を撃った。
主人公は絶望し、「調和だけじゃ危険だ」「自由はいけないことなのか」と葛藤します。
しかし、「人はそれぞれバラバラだ。乱すことで新しい世界に気づく」と、圧力に屈しない姿勢を貫きます。
ここでいう新しい世界は、既成概念を壊した後の世界。くだらない社会常識や暗黙の了解がなくなった、自由な世界を表しています。
三度目の「僕は嫌だ」
僕は嫌だ
出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
この僕は嫌だ!は主に「怒り」。
主人公の大切な仲間であった君を奪った周囲の人間に対する怒りや、自分にも同調しろと圧力をかけてくる人間への怒り、既成概念に対する怒りなど、すべてのものに対する怒りがこの三度目の「僕は嫌だ」に込められています。
しかし、君が仲間でなくなってしまったという悲しみも含まれていると思います。
不協和音で 既成概念を壊せ
みんな揃って 同じ意見だけではおかしいだろう
意思を貫け! ここで主張を曲げたら生きてる価値ない
欺きたいなら 僕を抹殺してから行け!不協和音を僕は恐れたりしない
嫌われたって 僕には僕の正義があるんだ
殴ればいいさ 一度妥協したら死んだも同然
支配したいなら 僕を倒してから行けよ出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
「僕は嫌だ」の後は二番サビ→一番サビという流れになります。
不協和音で既成概念を壊せ!と周囲に呼びかけますが、周囲の人間は周囲に同調しようとします。
「そんなに同調したいんだったら僕を抹殺してから行け!でも僕は不協和音を恐れない。嫌われたっていい、絶対に主張を曲げない。それでも僕を支配して、周囲に同調させたいんだったら、僕を倒してからにしろ」と、逆に主人公が周囲の人間に圧力をかけています。
不協和音を楽しむ主人公
Discord Discord
Yeah! Discord出典:欅坂46『不協和音』
作詞:秋元康 作曲:バグベア
Discordの英語訳としては「不和」つまり、仲が悪くなること、仲違いという意味になります。この部分のDicordは不協和音と捉えてもいいと思います。
Discordを2回連呼しますが、「Yeah!」と主人公は叫びます。この「Yeah!」なんですがいくつか意味があり、*1「はい」「うん」という意味もありますが、「不協和音、うん、不協和音」だとなんかしっくりこないですね(笑)
恐らくこの「Yeah!」は感嘆符(!)もついていることから、喜んでいる、興奮しているのだと思います。
つまり、主人公「僕」は仲間だった人間が、周囲の人間と同調し敵になり、一人で敵と戦う主人公が狂い、不協和音を楽しんでいる、喜んでいる、興奮しているということが分かります。勿論、「狂った」は誉め言葉ですよ。
※あくまでも僕の解釈で、これが正解とは限りません。
これがハッピーエンドかバッドエンドなのかは人によって分かれますが、僕はハッピーエンドなのかな、と思います。
主人公の僕が仲間を失っても自分を殺さず、自分を貫くことを決めました。そして、かつての仲間だった「君」やその周囲の人間は「抹殺しろ」「倒してから行け」という主人公を攻撃はしたものの、抹殺はしなかった。
つまり、心のどこかでは主人公と同じ気持ちを持っているけど、周囲や上の人間の目、圧力が怖くて主人公と同調することができない。
主人公が敵だと思っている人たちも、実は主人公の仲間だったということになります。これは僕はハッピーエンドだと思いますが、皆さんはどうでしょう?
最後までご覧いただき、ありがとうございました。