たきです。
去年から続く、欅坂46の歌詞考察シリーズ。今日は僕が欅の中でも好きな1曲『もう森へ帰ろうか?』の歌詞を考察していきたいと思います。
6thシングル『ガラスを割れ!』のカップリング曲として収録された1曲ですが、『避雷針』同様、表題曲に匹敵するほどの曲。ミステリアスでダークで恐怖も感じるけど、どこか悲しさや寂しさを感じる、不思議な曲です。
歌詞の考察
「街には何もなかった」
もう森へ帰ろうか? 街には何もなかった
想像してた世界とは かけ離れていたよ出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
この曲の主人公は「森」(田舎)から「街」(都会)に出てきたのでしょうか。
田舎にいたころの主人公は街に対してプラスのイメージを持っていたと思います。僕は生まれも育ちも東京なので、主人公の気持ちはあまり分からないけど、「君の名は。」の三葉ちゃんみたいなのかな。都会にはお洒落なカフェがあって、芸能人と街中で会えて、キラキラしているイメージ。
そんなイメージを持って都会に出てきたものの、想像していた都会のイメージとはかけ離れていました。
曲の出だしからこんな歌詞ですよ(笑)。アイドルの曲とは思えん。
「土も緑もない、狭い土地」
こんな土も緑もない 狭い土地に
人間(ひと)は何に惹かれて 暮らし始めようとするのか?出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
もう歌詞がドストレートで考察もクソもないですね(笑)
渋谷とか池袋とか新宿とか、公園や緑地、川みたいなのは確かにあるにせよ、田舎に比べたらちっぽけなもん。川は投げ捨てられたゴミで汚れ、公園や緑地も食べ終わったコンビニ弁当が袋に入れられたままベンチに投げ捨てられ、たばこの吸い殻もそのまま。
狭い土地に雑居ビルや、高層ビル・タワーマンションが林立し圧迫感を感じる上に、住む階層によってカーストが生じ、隣人トラブルや人間関係で悩むこともしばしば。
主人公はそんな現実を知り、他の人間が何に惹かれてここで暮らし始めようとするのか疑問に思う。
まぁ...便利さとか職場が都会とかそんなもんでしょうね(笑)。住みたくて住んでる人なんて居ないでしょ...。え、いるの?(小声)
「鉄やコンクリートは温もりを伝えやしない」
喧騒の中で愛語り合っても
鉄やコンクリートは 温もりを伝えやしない出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
都会は騒がしいですよね。鉄道の音、車の音、飛行機の音、通行人の歩く音、会話、大音量で流れる広告。
その中で愛を語り合った(プロポーズとかそんなのかな)ところで、周囲のノイズにかき消されるし、鉄やコンクリートだらけの街では温もりを伝えやしない。
「風の噂に洗脳されて」
風の噂に洗脳されて 存在しない夢を見ていたんだ
出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
田舎にいた頃は「街にはお洒落なカフェがある」「街の人たちはオシャレ」「夜景がきれい」「芸能人と会える」と言った話が流れていたのでしょう。
でも主人公が見た街はそんなものではなかった。田舎で聞いた街に対するイメージや話は全て風の噂で、僕はそんな噂に洗脳されていた。
「もう森へ帰ろうか?」
もう森へ帰ろうか? このまま手ぶらでもいい
僕たちのユートピアは 現実逃避だった
誰かと(誰かと)
競い合って(競い合って)
生きるなんて(空しい)
もう やめよう(さよなら)出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
風の噂に洗脳されていた主人公は、街が嫌になり「もう森へ帰ろうか?」と考え始めます。このまま手ぶらでもいいという歌詞からは、街にある家や服、すべての持ち物を置き去りにしてもいいから、今すぐにでも帰りたいと思っているのでしょうか。
ユートピアというのは、Google先生曰く「現実の社会に対し不満を持つ人が夢想する、理想的な楽土。理想郷」という意味らしいです。
田舎の頃に夢見ていた街は、田舎の生活に不満を持っていた僕等の現実逃避であったことを街に出てきた僕は思います。
「誰かと競い合って生きるなんて空しい」という歌詞ですが、競争自体を否定するのではなく、無意味な競争に対して空しいと思っているのでしょう。
先ほども言った、マンションの住む階層によって生まれるカースト、年収や職業の比較、大学や高校、専門学校卒の学歴、容姿の優劣の競争、陰キャ陽キャという括り。そんな競い合いをし、傷つけ傷つけられて生きていくなんて空しい、と。
もうやめよう、こんな街とはさよならしよう。
「空はなぜか青くもなく、汚れている」
空はなぜか青くもなく 汚れている
街にやってきてから 深く息もしてなかった出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
日本ではあまり実感はできないでしょうが、お隣の韓国や中国を見ればわかりやすいですね。
北京やソウルなどの都市ではPM2.5などで空気が汚染され、空は青くなく汚れています。
東京でも車の排気ガスやトラックの荷物などで、空気が汚れていたり、かすんで見えたりすることもたま~にありますよね。
主人公は街にやってきてからは、深く息をしていませんでした。なぜなら空気が汚れているから。
「理想的なしあわせがあると思った」
誰もが挙って ここを目指しているなら
きっと理想的なしあわせがあると思った出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
地方に住む人は、東京や大阪などの大都市を目指している人が多いと思います。その人々を見た主人公は、街には田舎よりも理想的な幸せがあると思ったのでしょう。
時間とルールに縛られて
時間とルールに縛られて 住人たちは何を諦めた?
出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
街の住人は時間とルールに縛られていた。
電車が5分遅れただけで駅員に怒鳴り散らし、締め切りに間に合わないと終電近くまで残業し、「上司より先に帰ってはいけない」などのよくわからんルール。
でも住人たちは不満を直接は口に出さず、上司の前では耐え忍ぶし、締め切りは厳守する。住人たちは何を諦めたのか。
「あの森へ帰りたい」
あの森へ帰りたい 離れて気が付いたんだよ
僕たちが信じてた 世界はフェイクだった
真実を(真実を)
隠しあって(隠しあって)
何のために(泣いてるの?)
もう ごめんだ(悲しい)出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
主人公は森へ帰りたくなってきました。
森を離れ街に出てきてから気が付きました。僕たちが信じていた街という世界はフェイクだった。
街の人々は心の中に思っていることは隠し、表の顔と裏の顔を巧みに使い分け、真実は隠しあっています。
主人公は真実を隠すのも隠されているのにも疲れ、もう御免だ、真実を隠しあって生きるなんて悲しいと思います。
「空の太陽よ 教えてくれ」
自分はどこにいる? 空の太陽よ 教えてくれ
出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
元はと言えば、森に不満を持っていて夢見ていた街に出てきたのであって、いざ街に出てきたら街にも不満を持ってしまった。
自分が今いる場所は田舎にいた頃夢見ていた街ではなかった。主人公は自分がどこにいるのか分からなくなり、太陽に自分はどこにいるか尋ねます。
「もう森へ帰ろうか? 何度も思い直した」
もう森へ帰ろうか? 何度も思い直した
僕たちの行き先は どこにも見つからないここから(ここから)
振り返れば(振り返れば)
輝いてる(故郷よ)あの森こそ ユートピア
出典:欅坂46『もう森へ帰ろうか?』
作詞:秋元康 作曲:河原健介
主人公は太陽に自分がどこにいるか尋ねた上に何度も思い直したけれども 、僕たちの行き先はどこにも見つからなかった。
どこに行っても不満は出てくるし、ユートピアは生まれる。
でも今言えることは、僕が今いるこの街よりは故郷の方が断然いいということ。その証拠に「輝いてる」という言葉が使われています。
そして、街にいる「僕」のユートピアは故郷の「森」。
まとめ(自分語り多し)
僕がこの曲を好きなのは、曲自体が美しいというのもありますけど、歌詞も僕の考えと100%一致しているということなんですよね。
僕は東京で生まれて東京で育ったんですけど、都会は人は多いわ、緑はないわ、ゴミだらけだわ、くさいわ、うるさいわで大っ嫌いです。
人が多いとこ行くと頭が痛くなるし、酷いときは吐き気までする。(人酔いってやつ?)
で、将来は東京を離れて地方に住みたいなとか思ってるんですけど、地方は地方で色々あるんですよね。村八分だったり、都会のような騒音は少ないけど、虫の音がうるさかったりなどなど(笑)
なので、結局都会の人が思っている田舎のイメージって、のどかで人は優しくて、空気がきれいとか、そんな人が多いとは思うんですけど、今でもニュースとかで村八分とかたまに見ますし、現実はそんなことないよって。
今街に住んでいる僕の想像している地方(田舎)もあくまでもユートピアであって、いざ引っ越して生活してみると、「都会の方が楽だなあ、いいなあ」となるんでしょうね(笑)
なので、僕は森か林を買ってその中に一軒だけポツンと一軒家を建てたいと思います(違う、そうじゃない)。将来ポツンと一軒家に取材されるかもですね((