涼しくなってきて、秋の衆院選が近づいてまいりました。
退陣する菅首相率いる菅政権の支持率は30%前後をウロチョロしており、野党にしてみれば、今秋の衆院選は政権交代の大チャンスです。菅政権を支持しない人は70%ほどいることになりますからね。その人たちを取り込むことができれば大勝利ですよ。
そんな中、野党第一党の立憲民主党が「#政権取ってこれをやる」と題し、政権公約を発表しました。政権公約とは、次の選挙で立憲民主党が与党になり、政権交代をすることができたら、こんなことやりますよーというもの。
しかし、政権公約の中身を見てみると、何だこれと思うほど酷いものでした。これが日本の野党第一党とは。
立憲民主党「政権公約」の中身
政権公約の中身ですが、第一弾としては以下の7つが掲げられています。
- 補正予算の編成(新型コロナ緊急対策・少なくとも30兆円)
- 新型コロナ対策司令塔の設置
- 2022年度予算編成の見直し
- 日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
- スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
- 「赤木ファイル」関連文書の開示
- 森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置
既視感がある「30兆円の補正予算」
まず、一に挙げられている、最低30兆円の補正予算。これどっかで見たことあるんですよね。どこだろう。あ、国民民主党だ。
国民民主党が今年4月、緊急事態宣言宣言の発令による緊急経済対策として、30兆円の対策を発表していました。
国民民主党と言えば、立憲民主党と分裂した、立憲民主党からしてみれば同じ野党とはいえ、敵対する存在。そんな国民民主党と全く同じ額を掲げているのは、何か二番煎じ感があります。よく言えば、参考にしたのでしょうが、悪く言えばパクりですね。
しかし、国民民主党は30兆円の使い道、内容を明記していますが、立憲民主党は30兆円と言う額だけ。額だけを強調するあたり、悪徳業者みたいですね。
新型コロナ対策指令室の設置
二つ目に掲げている、新型コロナ対策指令室の設置です。衆議院選挙が行われるのは今年の秋です
日本ではワクチン接種が進み、コロナに感染しても無症状か軽症で済むことが大半。国民の大半がワクチンを接種すれば、誰が感染しても軽症・無症状で済むのだから、季節性インフルエンザと同等レベルにまで、下がると思います。
それなのに、今からわざわざ新型コロナの対策指令室を設置したところで...ねえ。遅すぎますよね。まだ去年とかであれば、良かったのですが。今から作るなんて言われても遅すぎるとしか思えないですね。まあこれは野党の立憲民主党ではなく政府に言うべきですが。
今回のコロナのような新興感染症は約10年に一度発生すると言われています。思い返せば、2012年のMERS、2009年の新型インフルエンザ、2002年のSARSなど。新型コロナに限定するのではなく、今後も起こるであろう新興感染症にも対応できる組織をつくるのであれば、僕は支持します。
2022年度の予算編成の見直し
来年度予算の編成については、「すでに概算要求が出ているが、今進んでいる国民生活に寄り添っていない時代錯誤の予算編成は抜本的に見直さざるを得ない。したがって、概算要求を抜本的に見直すことを決定し、指示をしたい」と述べました。
「国民生活に寄り添っていないから見直すことを決定、指示する」
では具体的に、どの部分をどれだけ下げて、どの部分をどれだけ上げるのか、30兆円の緊急対策と同様、具体的な内容が無いので全く分からない。
日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
日本学術会議の任命拒否問題に関しては、僕も過去に触れています。→「日本学術会議の任命拒否、本当にダメなの? - たきぶろぐ」
任命されなかったのには、されなかっただけの理由があったのでしょう。その理由に触れず、政権交代したら任命します!って、ありえないですよね。
首相はなぜ任命しなかったのか、具体的な理由は説明をしていません。しかし、仮に任命を拒否されたこの6人が、過去に何らかの問題を起こしていた、研究内容を外部に漏洩したなどのことがあれば、それは任命をされなくて当然です。
なので立憲さん含め、任命拒否問題で騒ぎ立てる人たちがすべきことは、首相に対してなぜ任命しなかったのかを問いただして、明確な回答をもらうこと。明確な回答をもらったうえで、任命するかしないかを立憲さんは判断すれば良いかと。
まあ菅首相も「総合的・俯瞰的に判断した」としか言わないので、それもまた反発を招いている一つの原因なわけですが。でも、一般の企業でも人事異動ってあるじゃないですか。春とかになると会社のホームページで「人事異動のお知らせ」なんてPDFがリリースされますが、それも異動前のポジションと、異動後のポジションが書いてあるだけで、理由は書いていないことが大半ですよね。わざわざ理由を言うほどのことでもないかな、なんて思います。
まあ理由も分からず任命拒否をされた人たちを、「僕たちは任命します!」と言われても、僕は疑問に思います。
...というか、日本学術会議の任命云々って、国民の生活に関係あります?
スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
スリランカ人のウィシュマさん方が、日本の入管に収容中に体調不良で亡くなった事件ですね。
入管の対応が酷かったのではないか、とあーだこーだ言われていた問題ですね。日本はこの問題に限らず、外国人技能実習制度など、黒い部分もありますから、そこは是正していく必要は確かにあります。
しかし、元はと言えばウィシュマさんが不法滞在者であったために、この施設に収容されたわけです。犯罪者に何をしてもいいというわけではありませんが、しっかりと期間内に出国をしていれば、このようなことにはならなかったはずでは。
しかも、産経新聞の報道によると、ウィシュマさんは収容時に帰国したいと言っていたそうですが、支援者との面会後に、帰国せず残留を希望したとのこと。支援者がどなたか分かりませんけど、支持者がなぜ残留を促したのか、そちらも気になりますね。
今回の事件で、入管の杜撰な対応、人権問題にも発展しているわけですが、これは捜査機関が捜査を行い、然るべき対応をすべきであり、また政府はこのようなことが二度と起こらないよう、是正すべきです。
「立憲民主党が政権を取ったらウィシュマさんの映像を公開する!」と言っていますが、いやいや違うでしょ。やるべきことは映像を公開して、「ほら、こんなひどいこと行われてたんです!許されないでしょ!」じゃなくて、「こんなことが二度と起こらないように、我々はこのように対応します!」でしょ。
今の立憲民主党の政権公約は、防犯カメラの映像を公開することがゴールになってて、じゃあその後はどうするの?と疑問に思います。「入管はこんな酷いことしてたんですよ!政府は何をしていたんだ!」と政権批判に終始しているだけ。
大体、入管は外国人向けの施設であって、大多数の日本国民にとってはあまり関係ない施設。ウィシュマさんの死は残念に思いますが、これは政権公約、しかも第一弾に掲げることではないのでは。他に優先すべきことはありますよね。
「赤木ファイル」関連文書の開示
赤木ファイルとは後述の森友学園問題で、赤木さんという近畿財務局の職員が職場に残した資料のこと。
赤木さんは、公文書の改ざんをしてはいけないと抗議をし続けたのに、どこかからの指示で改ざんを強いられ、それを苦にして自殺をしてしまいました。仮に自殺をしていなかったとしても、いずれかのタイミングでバレて、責任を擦り付けられることは確定なので、どちらにせよ地獄。
そして、立憲民主党はその改ざんの経緯を記した「赤木ファイル」を開示すると公約に掲げているわけです。森友学園問題に関しては後述するので、ここでは赤木ファイルのみにフォーカスを当てます。
まず、公文書の改ざんは明確な法律違反です。そりゃあそうですよね。恣意的に文書を改ざんすることができてしまえば、正確な記録は残りませんから。公文書の改ざんに関しては、立憲民主党含め、様々な人がいうように、反省すべきで二度とあってはならない。
しかし、ウィシュマさんの件同様、公開してどうするの?「こんなことがありました!やっぱり○○さんが赤木さんに公文書の改ざんを指示していました。」
○○さんが誰かにもよりますが、政府に親しい人間であればやっぱり、「(仮に立憲が政権を取ったら)前政権はこんなことしてたんですよ!酷いですね!」と前政権、自民党批判に終始するだけ。ウィシュマさんの件と同じ。
開示して、「こんなことがありました、我々は二度とこのようなことが起こらないように、こんな対策をします!」ですよね。公開した後どうするの?開示することがゴールじゃないんだから。
公文書の改ざんはあってはならないことですし、文書が改ざんされることによって、国民生活に影響が出る可能性も否定できません。そのため、この項目に関しては、立憲が公文書の改ざんに関して、何かしらの対策をするのであれば、賛同します。
森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置
森友学園問題
森友学園問題は9億円ほどと査定された国有地を、森友学園に対して約8億円ほど値引きした、1億円ほどで売却された問題ですね。なぜここまで値引きをされたのか、色々なやりとりがあったのですが、そのやりとり等を記した公文書を改ざん。
赤木ファイルの情報開示を求められ開示されましたが、肝心なところが黒塗り。黒塗りの多さから「のり弁」と言われたこともありましたっけ。端から真相を解明しようという気は無いのでしょうね。
しかし、この問題は捜査機関が捜査を行い、終了しています。真相解明はできていないとは思いますが。自民党の総裁選で「森友学園問題を再調査する」と言っている候補は居ません。国会であーだこーだ言っても意味がないんです。立憲は国会ではなく、検察や警察に行ってください。
大体、捜査に対して国会議員、政府が関与するのはあり得ません。三権分立を守り、捜査は司法に任せ、国会議員は捜査に関与しない、口出しをしないのが当然ではないでしょうか。
加計学園問題
加計学園問題は、50年以上認可されていなかった獣医学部の新設ですが、安倍首相と親しい理事長の居る加計学園に獣医学部が新設された問題。安倍前首相が、旧友に便宜を図っていたのではないかと言う問題ですね。
これ、政府の問題と言うよりかは安倍前首相個人の問題ですよね。わざわざ国会で議論する内容ではないでしょうに。それに、これに関しては森友学園のように、税金は関係ないので、まあ国民にとってはどうでもいいと思う人が多いと思います。
旧友に特別扱いをしたというのが、一つの問題点にはなりますが、それを言っちゃあ、支持者に利益を供与する他の国会議員も同じことではないでしょうか。
このことに関しては僕は問題視していないですし、国会で審議拒否をするほどのことではないでしょうに。
桜を見る会問題
桜を見る会問題に関しては、安倍前首相が税金で開かれた桜を見る会に、安倍氏の支持者や後援会の関係者などを招待し、支持者を優遇。招待者名簿をシュレッダーにかけて証拠隠滅。前夜祭で不足額を安倍氏側が補填していた、等々の問題ですね。
安倍氏は不起訴になりましたが、今年7月不起訴不当となり、再捜査が行われているところです。
確か同じ自民党の菅原一秀元衆院議員が、香典やらメロンやらカニやらを配って公職選挙法違反で起訴されましたし、広島で大規模な買収もありましたね。そんな中で首相までもが、税金で支援者を優遇していたわけですから、ありえない話ですよ。
しかも森友学園で問題にあった公文書管理も、シュレッダーにかけて存在を抹消するなど、反省の色なし。
桜を見る会は税金が使われているわけですから、国会でも追及すべきですが、あくまでも追及にとどめるべき。森友学園とおんなじで、捜査は司法に任せるべきです。
それに「桜を見る会、時間が余ったらコロナをやります」と言った、立憲民主党の福山哲郎幹事長さん。コロナよりもこっちの方が大切ですか?
税金を投入しているという点ではこちらも追及すべきではありますが、国民には直接的な関係ないですよね。未知のウイルスが国内で蔓延し、次々と感染し、次々と亡くなっていく方々が居る中で、コロナより桜を見る会ですか。あなた方は政権を批判したいだけでは?国民のこと二の次なんて、国会議員失格ですよ。
【期待を裏切らない】参・予算委。立憲民主党・福山哲郎「総理、嫌でしょうが、桜を見る会について質問させて頂きます。時間が余ればコロナ対策もやります」
— Mi2 (@mi2_yes) 2020年3月4日
わぁ、桜やり始めたぞ。 pic.twitter.com/6bA8vmtR5H
そして、桜を見る会、モリカケ問題について何かあれば国会での審議拒否。審議を拒否する癖に、「臨時国会を開け!」と言うんですから。で、国会を開いてもまたモリカケサクラ。思ったような答えが出なかったら審議拒否...の繰り返し。だから国会なんて開く意味がないんですよ。あなた方が審議拒否をしなければ、その間話し合いだってできたでしょう。自分で拒否をしておいて何を言う。
総評
総評です。
1.補正予算の編成(新型コロナ緊急対策・少なくとも30兆円)
└ 具体性なし。現時点ではバラマキとしか思えない。中身を見てから賛同するかを判断。
2.新型コロナ対策司令塔の設置
└ 新型コロナに限定した司令塔であれば不支持。今後も起こるであろうこのような新興感染症等にも対応できるようなものであれば賛同。
3.2022年度予算編成の見直し
└ 具体性なし。中身を見てから賛同するか否か判断。
4.日本学術会議人事で任命拒否された6名の任命
└ 不支持。国民の生活には無関係。6名が任命されなかった理由も分からないのに、任命を支持することはできない。というか日本学術会議自体存在意義ある?
5.スリランカ人ウィシュマさん死亡事案における監視カメラ映像ならびに関係資料の公開
└ 不支持。入管の杜撰な対応、人権問題に関しては改善の必要あり。しかし、立憲はあくまでも「公開」を公約に掲げており、公開した後の対応が不明。日本国民の生活には直接的には関係なし。
6.「赤木ファイル」関連文書の開示
└ 部分的に賛同。公開をすることによって、捜査の助けになる可能性がある。しかし、国民の生活には直接的には関係がないうえ、ウィシュマさんの件同様、開示した後の対応が不明。
7.森友・加計・「桜」問題真相解明チームの設置
└ 不支持。加計学園は安倍氏個人の問題であるため、どうでもいい。ただし森友学園、桜問題は税金も投入されている故、真相を解明する必要はある。しかし、真相を解明するのは、三権分立の「司法」の部分であり、国会議員がすることではない。それは立憲主義を謳う立憲民主党ならわかるはず。仮に真相を解明したところで、国民の生活には直接的な関係はない。
モリカケサクラより、今やるべきことはいっぱいありますよね。
この直近3日間で、中国と思われる潜水艦が日本の接続水域を航行、ロシア機が領空侵犯、北朝鮮が新型ミサイルを発射。周辺国がこんなに挑発行為を行ってきているのに、立憲民主党の掲げた第一弾の公約には、安保・外交に関しては一切触れていません。日本国民の財産が奪われようとしているのに。
日本の人口は減少し続けています。今後年金制度や医療制度なども課題になってくると思いますが、そのような課題に対して、どのように取り組むのかも不明です。少子高齢化に関しても具体的な案は無く、日本がこのまま衰退していくのを黙って指をくわえてみている気ですか?
だからいつまでたっても支持率が1桁(7%)なんですよ。この政権公約を達成したとして、国民は果たして安心安全に、良い暮らしを送ることができるのでしょうか。