たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

NHK受信料の不払い世帯に対して割増金を徴収可能に...おかしくない?

いよいよ来るところまで来てしまいましたね。電波法・放送法の改正でNHKへの受信料を正当な理由なく支払わなかった世帯に対し、割増金という名の実質罰金を徴収可能にする法改正が行われました。

 NHK受信料の値下げ原資を確保するための積立金制度の創設などを盛り込んだ放送法と電波法の改正法が3日の参院本会議で可決、成立した。正当な理由なく受信料を支払わない世帯への割増金の徴収も可能となる。

出典:NHK値下げ、改正法が成立 不払い世帯へ割増金も:時事ドットコム

ニュースではざっくり割増金が徴収可能になったとしか報じられていませんが、割増金を徴収するにも条件がありましてそれが改正法に書かれている以下の場合。

四 次に掲げる場合において協会が徴収することができる受信料の額及び割増金の額
その他当該受信料及び当該割増金の徴収に関する事項
イ 不正な手段により受信料の支払を免れた場合
ロ 正当な理由がなくて第二号に規定する期限までに受信契約の申込みをしなかつ
た場合

出典:https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/208/pdf/t0802080182080.pdf

問題なのは「ロ 正当な理由がなくて第二号に規定する期限までに受信契約の申込みをしなかつた場合」

これまでの放送法では、受信設備を設置したものはNHKと契約をする義務がありましたが、契約をしていなくても何かある、ということはなかったんですね。強いて言うならNHKが受信料を払っていない人を相手取って訴訟を起こすくらい。

しかし、この法改正によってNHKは契約をしていない人に割増金を払うよう強要することができるので、実質NHKと契約しなかったことに対しての罰金ですね。

これ、ありえない話ですよね。国が架空請求業者を守っているような法律を作るなんて。


NHKと契約したのに受信料を払わないのは、それは「NHKの放送を受信する代わりにNHKに受信料を払う」という契約に違反したのだから、契約違反で割増金を徴収するのは理解できます。

例えるならTSUTAYAで1週間借りるから1週間分の料金を払ってレンタルしたけど、1ヶ月後に返却されたら、「1週間借りる」という契約に違反しているから、TSUTAYAに延滞金という名の割増金を支払う、というのは納得できますよね。

しかし今回の法改正では、契約をしていないのに金をよこせと言ってきているのです。TSUTAYAが自宅に勝手にDVDを送り付けて「1ヶ月1000円払えよ。じゃなきゃもっと金払ってもらうからな」と言っているようなもの。ありえない。


そもそも契約というものは「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。」と民法に書かれています。

NHKが「電波を送るから月1000円払ってね」と言って、僕が「分かりました。契約します」と言って、契約を結ぶ当事者の間で合意があって初めて契約が成立します。僕が「いや、NHKなんて見てないのに月1000円払うなんてばかばかしい」と、契約内容に合意をしていない場合契約は成立しませんし、NHKが強引に契約を結ばせることもできません。

契約をしていない人はもちろんNHKに受信料を支払う義務はありません。だって「受信料を払います」という契約をNHKと結んでいないのだから。

本来これが普通なはずなんですが、何と今度の法改正でNHKと契約をしていない人にも割増金を徴収できるようになりました。これどう思います?


民法には確かに、以下のようなことも書かれています。

第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

出典:民法 | e-Gov法令検索

法令に特別の定めがある場合を除き、契約を自由に決定できるとありますから、放送法でNHKと受信契約を結ぶ義務があるのであれば、国民はNHKと受信契約を結ぶ義務があります。なので、一見民法と放送法は矛盾をしていないかのように思えます。

しかし、日本国憲法第二十九条では「財産権」について以下のような記載もあります。

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。

3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

出典:日本国憲法 | e-Gov法令検索

「財産権」には物を自由に取捨選択できる権利「所有権」も含まれています。(「物」は「目に見える物」だけでなく、サービスなどの「目に見えない物」も含まれている)日本国憲法で、「国は国民が『物』を自由に取捨選択する権利を侵してはならない」と書かれています。憲法は言わずもがな日本の最高法規であり、これに反する法律をつくることは許されません。

しかし、そこは憲法。抜かりなく「公共の福祉に適合するやう(よう)に」と書かれています。「公共の福祉に反する場合は、財産権は制限されますよ」ということ。

以前の記事「NHKってなんで特別扱いされてるの? - たきぶろぐ」でも書きましたが、公共の福祉とは「社会全体の利益」のことを指します。

例えば国が高速道路をここに通したい。けどルート上に一軒家が建っていて、そこの住民が「高速道路反対!」と言っているといつまでも高速道路をつくれない。社会的には高速道路をつくった方が、物流も人の流れもスムーズになって利益になるじゃないですか。こういう時は「公共の福祉に反する」と言って、正当な補償を行ったうえで、住民を立ち退かせる=住民の家や土地を持つ権利・居住択の自由を制限し、国がその建物を取り壊して土地を使うことができます。


では、NHKと契約をすることが「公共の福祉=社会の利益」になることなのでしょうか。じっくり考えてみたんですけど、僕はそうとは思えませんね。

NHK側は「国民の『知る権利』を失わない・充足するためにも、受信料を払っていただきたい」と言っています。つまり受信料を支払わないとNHKが運営できなくなる。そうなると国民の「知る権利」が失われるから、受信料を払えというのがNHKの主張。

僕はこの主張に「ハハハ、こいつら何を言ってるんだ」と思います。

国民の知る権利は「新しい人権」として、日本国憲法21条の「表現の自由」に含まれ保障されていて、NHKがあろうがなかろうが、潰れようが潰れまいが国民の知る権利は失われない。なんて言ったって日本国の最高法規、日本国憲法様が保障している権利なのだから。

NHKが無くなっても、憲法によって国民の知る権利は保障されているのだから、NHKの「国民の知る権利を守るために、受信料制度は必要」という主張は詭弁のように思えます。それにそのNHKが偏向報道、ヤラセ、事実歪曲など酷い有様。それで「国民の知る権利を守る」とか、日本国民が鼻で笑う。こいつら何を言ってるんだと。


国も何でここまでしてNHKを守ろうとしているのかよくわかりません。裏でNHKからカネをもらっているのか、はたまたNHKを利用して政府にとって都合のいい情報やプロパガンダを流して国民を洗脳させようとしているのか、よくわかりません。

だってNHKって国から独立しているから、国営放送ではなく「公共放送」なんでしょ?なのになんで国がこんな法律をつくってまでNHKを守ろうとしているの?国にとって何かメリットが無いとそこまでする意味がよく分かりません。

国がNHKを守るのであれば、NHKは国に守ってもらっている立場なのだから、国の機嫌を損ねないようにしなければならないから、国を批判するようなことはしにくいはず。いわば国がスポンサーなのだから。

国は何を企んでいるのか?
と、陰謀論めいた考察をしたところでおさらば。