たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

欅坂46 ラストシングル『誰がその鐘を鳴らすのか?』歌詞を考察

欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』

お久しぶりです。

今日8月21日は欅坂46のラストシングル『誰がその鐘を鳴らすのか?』の配信日ですね。

これが欅坂46としては最後のシングルになると考えると寂しいけど、メンバーは「前向きなお別れ」とも言っていたし、最後にこんないい曲を置いて行ってくれたので、その寂しさも少し紛れました。

今日はそんないい曲、『誰がその鐘を鳴らすのか?』を考察したいと思います。

耳を澄ますと聞こえて来る 色々な声や物音
人は誰もその喧騒に 大事なものを聞き逃している

Wo oh oh oh oh oh oh・・・

ねえ ちょっと静かに・・・
ほんの少しでいいから
自分の話じゃなく 他人の話聴いてみてほしい
冷静になろうって 合図をくれればいいのに・・・

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

ゆいぽんのセリフから入るこの曲。

人は街を歩くとき、何も考えずに歩くことが多いと思いますが、耳を澄ませて意識を集中すると、色々な声や物音が聴こえてくる。

人はその喧騒のせいで大事なものを聞き逃しているのではないか。

自分の話(意見)を際限なく主張するだけでなく、他人も聞いてみてほしい。

でも議論が過熱すれば、お互い他人の話は聞かず、自分の意見をぶつけ合うだけで、更に加熱すれば武器を使った争いにもなりかねない。

「冷静になろう」という合図をくれればいいのに・・・と主人公は思います。

もし地球上の片隅に 巨大な鐘があったのなら
世界中のどこにいても 聴こえるのに・・・

争いごと 起きそうになった時
あーあ あーあ
知らせてあげよう 言葉ではなく
誰でもわかるように 心に響かせるんだよ

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

争いごとが起きそうになった時、言葉ではなく鐘を鳴らして冷静になろう。

もし地球上の片隅にでも巨大な鐘があったら、世界中のどこに居ても聞こえるのに。

世界には多くの言語、民族、国がありますが、どこの国でも鐘は神聖的なものであり、世界共通のもののような気がします。

言葉ではなく、世界で共通の意味を持つ神聖な鐘を使うことで、言葉が違くても分かるように伝えることができます。

だけど問題は 誰がその鐘を鳴らすのか?
この世の中に神様はいるのかい? 会ったことない
その綱を奪い合ってたら 今と何も変わらないじゃないか
そばの誰が誰であっても鳴らせばいいんだ
信じるものがたとえ違ってても
そう平等に・・・

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

だけど問題は、誰がその鐘を鳴らすのか。

神様が鐘を鳴らせばいいのですが、主人公は神様に会ったことがありません。

神様が居るかどうかは分からない。でも、宗教で神を信仰している人々も居るので居ないと断言をすると、そのような方々から非難の声が上がるのでこのような表現にしたのではないかと思います。

鐘を鳴らす綱を奪い合っていたら、「僕が鳴らす」「いや、僕が鳴らす」と、今の言いたいことを言い合って埒が明かない状況と変わりません。

そばの誰が誰であっても鳴らせばいいんです。

「自分には関係ない」「どうでもいい」などと思わず、自分には関係なくても、どうでもよくても、その綱をもって鐘を鳴らせばいい。

鐘を鳴らす権利は、誰にでも平等にあります。

 一番高い山の上 巨大な鐘を吊るせたなら
風に乗って 海を越えて
届くだろう 誰かに

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

 一番の冒頭同様、もし地球に巨大な鐘があったらという歌詞。

一番高い山は、そこが世界一高い場所になるわけなので、鐘の音を邪魔する壁はないんですよね。そこに鐘があれば、鐘の音は風にのって海を越え、世界中に居る人々、誰かに届くだろう。

悲しみに俯いてしまったって
あーあ あーあ
語りかけよう
どこかできっと あなたを心配してる
味方がいるってことだよ 

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

言葉の代わりに鐘を鳴らせば、悲しみに俯いてしまっても、あなたを心配して鐘を鳴らしている人(=味方)が居ると言うことを語りかけることができる。

言葉ではなく鐘の音なのは上でも書いたように、世界には数多くの言語がありますが、鐘は世界共通のものなので、言葉が通じなくても気持ちを伝えることができるため。

愛の救世主 誰がその鐘を鳴らすのか?
そんな重たい責任を持てるかい?
逃げたいだろう?
その綱の大きな権力を 逆に誰も握ろうとするかも・・・
鐘を鳴らせる主導権なんか 意味は無いんだよ
支配したって 幸せになれない
愚かなことだ

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

争いを止める「愛の救世主」。鐘を鳴らし、争いを鎮めた人がこの「愛の救世主」となるのですが、その鐘を鳴らすには逃げたくなるほどの重たい責任を伴うため、誰も鳴らしたがらない。

でも逆に自分に都合のいいように物事を動かすことができるという「鐘を鳴らす権力」を誰もが握ろうとするかもしれない。

でも鐘を鳴らせる主導権なんか意味はない。なぜなら支配したって幸せになれない。

どこの国かは言わないけど、支配され言論弾圧、民族浄化、市民は権力に怯え、支配する側もクーデターや暗殺に怯える。支配したところで、支配する側もされる側も幸せになれない。

支配するために鐘を鳴らす主導権を争う、その行為自体が愚かなこと。

瞳を閉じて 聴いてごらんよ
自分の言いたいことを 声高に言い合ってるだけだ
際限のない自己主張は ただのノイズでしかない
一度だけでいいから 一斉に口をつぐんで
みんなで 黙ってみよう

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

一度瞳を閉じて聞いてごらん?

今やっていることって、自分の言いたいことを声高に言い合っているだけでしょ?

お互い言い合っているだけの際限のない、終わりのない自己主張はただのノイズ(雑音、不要な音)でしかなく、本当に必要な音が聞こえないし、言い合っているだけの状況が延々と続くだけ。

一度だけでいいから、一斉に口をつぐんでみんなで黙ってみよう。
そうすれば本当に必要な声や音が聞こえてくるし、一度クールダウンすることで状況が好転するかもしれない。一度冷静になろう。感情で訴えるだけでは何も解決しない。

Wo oh oh oh oh oh oh・・・
Wo oh oh oh oh oh oh・・・

僕たちの鐘はいつ鳴るんだろう?

出典:欅坂46『誰がその鐘を鳴らすのか?』
作詞:秋元康 作曲:辻村有記、伊藤賢

「僕たち」というのは主人公とその仲間。欅坂46とのこと。

1stシングル~8thシングルのセンター、9thシングルのセンターも務める予定だった平手友梨奈という神に近い存在の人物を失った今、欅坂46の鐘はいつ、誰が鳴らすのか。

誰にでも平等に鐘を鳴らす権利はあります。しかし、鐘を鳴らすために争っていてはグループの調和を乱し、グループにとっても、ファンにとっても良くない。

 

でも他人事とは思わず、鐘を鳴らして新たなグループとして頑張ってほしいものです。ファンの方々は鐘が鳴るまで何年でも待ちます。

 

これまでの「僕」は「大人たちに『支配』されるな」、「僕はYesと言わない、支配したいなら僕を抹殺してからいけ」「悪目立ちしてよう」と、自分の意見を絶対に曲げない、周りから悪目立ちしても自分の意見を主張し続け、『調和』とはかけ離れていました。

しかし、これまで自分の意見を曲げずに主張し続け、支配したいなら僕を倒してから行け、といわば好戦的だった「僕」が、今回の『誰がその鐘を鳴らすのか?』では「際限のない自己主張はノイズでしかない」「一斉に口をつぐんで黙ってみよう」と、少し大人になり、周囲の人間の意見を聞き入れています。

しかし、「支配したって幸せにはなれない 愚かなことだ」と、自分の「大人たちに『支配』されるな」という主張は変えていません。

自分の意見を主張しつつ、周囲の他人の意見を聞き入れることで大人になった「僕」を描くことで、欅坂46の物語は幕を閉じます。

5年にもわたり一つの物語を作り上げてきた秋元康は勿論、その物語を表現し伝えてくれた欅坂46、そしてそのメンバーを支えた欅坂46の関係者、全員がすごい存在だと思います。

新たなグループ名となり、始まりの鐘が鳴り響くのが今からでも楽しみです。