たきです。
昨日突然、安倍首相が憲法に「緊急事態条項を創設すべき」と訴えているというニュースが入ってきました。*1
この「緊急事態条項」を憲法に追加すべきか考えてみます。
- 緊急事態条項とは何か
- 緊急事態条項がない日本
- 緊急事態条項を追加することによるデメリット
- 安倍首相(自民党)の考える「緊急事態条項」
- 「党議拘束」の懸念
- 僕は明記すべきだと思う
- 今すべき議論ではない
- コロナ第二波はいつくる?
緊急事態条項とは何か
国家緊急権(こっかきんきゅうけん)とは、戦争や災害など国家の平和と独立を脅かす緊急事態に際して、政府が平常の統治秩序では対応できないと判断した際に、憲法秩序を一時停止し、一部の機関に大幅な権限を与えたり、人権保護規定を停止したりするなどの非常措置をとることによって秩序の回復を図る権限のことをいい、当該権限の根拠となる法令の規定を緊急事態条項(きんきゅうじたいじょうこう)という。
日本をはじめ、多くの国では「憲法」という最高法規があります。憲法は国民がつくった法で、日本では基本的人権の尊重など、生きていくうえで欠かせないものが明文化されています。そして、政治家はその憲法のもとで法律を作らなくてはいけません。憲法に反する法律や条令などは制定できません。
ただ、戦争や今回のコロナ・大災害などの国の存亡にかかわる際、政府が「憲法に従ってると対応できない」と判断したときに、一時的に憲法に書かれているものの効力を停止して、強力な措置を取ることができるというものです。
緊急事態条項がない日本
日本の憲法には「緊急事態条項」と呼ばれるものはありません。
なので極端な話、今どこかの国から攻撃されて戦争をふっかけられても、日本は緊急事態条項がないので、国民を強制的に疎開させるなんてことはできないんですよね。そもそも9条があるので日本は戦争できないけど。
そして、今回のコロナでもそうです。
コロナが東京で流行っているからと言って、東京を封鎖して東京から出れないようにするなんてこともできませんし、「外出禁止!外出たら罰金!」なんてこともできないんです。
なぜなら日本国憲法で経済活動の自由・行動の自由などの自由権などがあるため、政府が外出禁止令・営業禁止令などを出せば、憲法違反になってしまう可能性が高いので、今政府が出している「緊急事態宣言」はあくまでも「自粛『要請』」という『要請=おねがい』しかできません。
要請に答えなくても罰則はありませんし、政府・自治体側も強制的に要請に応じさせるほどのチカラは持っていません。なので夜8時を過ぎても営業している飲食店もザラにあるし、要請に応じないで営業を続けていたパチンコ店もあるんですよね。
緊急事態条項がないとこういうガバガバな法律・条令しかつくれないんです。
それを知ってる上で「緊急事態宣言が出ても感染拡大は止まらない!政府の責任だ!」っていうニュースを流すのはどうかと思いますよ、マスゴミさん。
国の補償が足りない点もありますけど、一律10万円給付、失業保険、雇用調整助成金、自治体にもよるけど休業要請に応じた店に東京都は最大100万円を支払うなど、できることはやってるし、家賃支援などの追加支援も検討されています。それに、各自治体で公営施設の封鎖・駐車場の封鎖などやってるし、旅行自粛を要請している自治体もあります。
それなのに要請に応じず、路駐までして奥多摩に行く人も居れば、海岸でサーフィンする人も居る。
政府は要請しかできないんだから、あとは国民一人一人の努力でしか収束できないというのに、こんなやつらがいるんだから、政府の責任もクソもないでしょうよ。責任転嫁してんじゃないよ。
緊急事態条項を憲法に追加して外出禁止令を出せば、こういう人を罰することもできます。
緊急事態条項を追加することによるデメリット
ただ、この緊急事態宣言を憲法に明文化することに懸念・不安の声もあります。
そりゃそうだ、緊急事態条項が追加されて緊急事態宣言されたら憲法を一時的に停止できる、ようは行動の自由だったり人権の尊重だったりそんなのがなくなるかもしれないんだから。
ヒトラーも国会議事堂放火事件を口実に非常事態を宣言し、その後全権委任法を制定し、一党独裁体制に。恐ろしいのが、ナチスは選挙で選ばれた人たちで、民主主義だったのにいつの間にか独裁になってしまったという。
この緊急事態宣言を政府が恣意的に発動できるようになれば、日本でもこのようなことが起こるなんてこともありえるわけで。
安倍政権が今までやってきたことを見れば確かにそう思っちゃいますよね。公文書改ざん、選挙演説でヤジった人を排除、選挙でカニ・メロンなどを配り、どこかの県では現金を渡して見事当選、憲法解釈の強引な変更...。
まあ野党も野党で黒い噂はいっぱい流れてるのでどっちもどっちなんですけど()
安倍首相(自民党)の考える「緊急事態条項」
自民党は日本国憲法の改正草案を公開していて、草案の中に「緊急事態」の条文が新設されています。
第九章緊急事態(緊急事態の宣言)
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4 第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。(緊急事態の宣言の効果)第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
長いしなんか難しいので、簡単にまとめてみますね。
内閣総理大臣は日本に対して外部からの攻撃や、内乱・国家の存亡にかかわる大災害が起きた際に、必要に応じて緊急事態を宣言できますよと。
緊急事態宣言を出すときは、事前または事後でもいいから国会の承認を得てくださいね、国会が「これ緊急事態宣言出すレベルじゃねえだろ」とか「もう大丈夫だ、解除しろ」と言ったり、「もう大丈夫だ」ってなったら内閣総理大臣は速やかに緊急事態宣言を解除してね。
緊急事態宣言は基本100日で、100日を超えて宣言を出したいんだったら100日ごとに事前に国会で承認してもらってね。国会の承認は第六十条の二項と同じ。
もし緊急事態宣言を出したら内閣は法律で定めたところによって、法律と同じ政令を精励することができて、内閣総理大臣はその政令を制定することによって必要な支出などその他処分をして地方自治体の長に指示をすることができるようになるよ。
ただ、政令を制定して正しかったかどうかの処分は事後国会の承認を得てね。
緊急事態宣言が出されたら、何人も(国民も芸能人も政治家もみんな)法律の定めるところによって国民の命や財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わないとダメ。(今回のコロナに置き換えると、国がもし外出禁止令を出したら、国民はその指示に従い外出をしてはならないとかそういう感じだと思う)
でも、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権は緊急事態下であっても最大限尊重するよ。
緊急事態宣言が発せられたら、その宣言が有効な期間、衆議院は解散されないで、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
大体こんな感じだと思う。
緊急事態条項の追加で懸念されている「私権制限」に関しては、自民党の改憲案では「基本的人権は最大限尊重する」と書かれているので、過度に心配する必要ないのではないかなと思います。
そもそも緊急事態って国民の命を守るために発動するものなので、多少制限されるのは仕方のないことだと思います。
「党議拘束」の懸念
ただ、「国会の承認を得る」ということが書かれていますが、もし仮に自民党が単独で緊急事態宣言を発動できる議席数を獲得したらどうなるか。
自民党はじめ多くの政党は基本「党議拘束」をしています。
党議拘束とは、党があらかじめ賛成か反対かを決めて、党に所属する議員に対し「この案は党としては賛成だからみんなも賛成してね」と投票を指示すること。
もし自民党が単独で緊急事態を宣言できる議席数を獲得し、党議拘束で緊急事態宣言に賛成するよう党議拘束をすれば、政府は恣意的に緊急事態宣言を発することができるようになってしまいます。
逆に緊急事態宣言を発することのできる議席数を増やせば、野党が足を引っ張って必要な時に発動できない可能性もなくはない。
難しいですね。そもそも党議拘束自体なくしちゃえばいいんだけど、まあできないでしょうね(呆)
僕は明記すべきだと思う
僕は緊急事態条項を憲法に明記すべきだと思います。
「アベ政権お得意の憲法解釈変更でやればいいじゃないか」とおっしゃっている方見かけますけど、僕はそれに反対。
憲法ではっきりと基本的人権、行動の自由など明文化されているのに、強引に憲法の解釈を変更して行動の自由を制限できるようになれば、それこそなんでもありになるでしょ。
自粛を要請している中、奥多摩や秩父・江の島などは観光客に対して訪問しないよう言っているのに、未だに行くやつらも居ます。秩父や奥多摩などの山奥の観光地は医療体制も盤石じゃないし、高齢者も多く、重症化しやすいし、死亡リスクも高い。それなのにまだ行くやつもいる。
観光客だけでなく、コンビニに酒だけ・たばこだけ・スイーツだけ買いに来る奴も居ます。そんなのなくても生きていけるだろうが。ホームセンターには多くの人が密集し、寧ろコロナ前より人が多いという報道も見かけます。
未だに夜遅くまで営業しているバーや飲食店もあれば、パチンコ屋もあるし、未だにテレワークを導入せず、オフィスに出勤させる企業もある。
そんなんじゃあいつまでたっても収束しないよ。みんなかかるかワクチン早く完成させて全員に打たせるか。
緊急事態条項を憲法に明記すれば、経済活動を止める・電車を止める・都市封鎖をする・外出禁止令を出す・これらに罰則をつけることも可能になり、早い話中国武漢市みたいな対応ができるわけですよ。
今すべき議論ではない
ただし、今のコロナで混乱している状況で改憲はすべきでないと思います。
第一波が収束しして以降、第二波が到達するまでのうちに議論をして改憲をすべきだと思います。
スペイン風邪のケースだと第二波は第一波よりも致死率が10倍も高かったと言われています。コロナも第二波は致死率が跳ね上がる可能性が十分にあります。
それなのに今のような自粛要請だけでやっていると、死者数は確実に跳ね上がります。
外出禁止令を出して人と人との接触を減らさなければ日本では何万人、何十万人の死者が出てもおかしくないです。
コロナが一旦落ち着いて、議論できるタイミングになったら早急に議論すべきです。じゃあコロナが一旦落ち着くのはいつなのか。
コロナ第二波はいつくる?
コロナの第二波が来ると決まったわけではないですが、来ないと決まったわけでもないです。
何度も言うように、常に最悪の事態を想定して行動すべきです。
僕が思うに第二波は早くて秋、遅くとも冬には来ると思っています。あくまでも専門知識も何もない僕の意見ですけどね。
中国ではすでに収束ムードが漂って、武漢の封鎖も解除してますし、経済活動も徐々に再開しています。
中国のことですから「収束したんだったら入国制限解除しろ、さもないと...」と色々な国に圧力をかけてくるでしょうし、中国だけでなくヨーロッパやアメリカでも一部の州で経済活動の再開されています。
しかし、コロナの感染者が0になったかというとそうではないです。中国ではまだ新規の感染者は出ていますし、無症状の感染者も居ます。中国に限らずアメリカやヨーロッパでもそうです。
一度陰性になったけど、もう一回検査したら陽性になったっていう人も居ます。このままワクチンやコロナの特効薬ができなければ、無症状の感染者が無意識のうちに感染を拡大させ、コロナが進化し更に強力なウイルスになる可能性も否定できません。
それらが現れてくるのが早くて今年の秋・冬になるんじゃないかなと思います。
何度も言いますが、常に最悪の事態を想定して動くこと。
そして、STAY HOME、家にいること。
「自分さえよければ」という思考はやめろ。
自粛してる人からすれば殺意が湧くし、あんたらがネズミのようにチョロチョロ動き回ると感染拡大は止まらないし、誰かを殺すことになる。
早くマスクを取って遊びたいんだったら、今は大人しく家に居ろ。それができない奴は大人じゃなく大人の見た目をした子供。