たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

人生で初めて絵画を購入しました。

先日、版画家・石川麻衣さんの個展「Dance Macabre」にお邪魔してきました。お邪魔した動機は今年あらいぐまラスカルがアニメ放送から45周年を迎え、記念企画として石川麻衣さんとコラボをするとのことで、その作品が展示されるためです。

タイトルにもある通り、ここで人生初めて絵画を購入しました。以下若干アニメ「あらいぐまラスカル」のネタバレを含みますので、閲覧の際は気を付けてください。

石川麻衣「My little Rascal」|†石川真衣個展†「Dance Macabre」

石川麻衣「My little Rascal」|†石川真衣個展†「Dance Macabre」

冒頭にもあるように、『あらいぐまラスカル』は今年でアニメ放送45周年を迎えました。今回ラスカルとコラボした版画家の石川麻衣さんはラスカルの大ファンで、スターリング(ラスカルと一緒に暮らす主人公)の暮らしに憧れ、動物たちと生活をしているそうです。自然の中で動物と生活...いいですね。僕はもうじきコンクリートの森の中でパソコンと生活をするので羨ましい。

そんなコンクリートの森の中で癒しを求めるため、絵画を購入することにしました。

購入した「My little Rascal  -友だち-」

購入した「My little Rascal -友だち-」

購入したものは「My little Rascal ー友だちー」です。個展で解説を聞いたのですが、アニメ「あらいぐまラスカル」の最終回では、主人公のスターリングがラスカルを森へ返します。スターリングも森へ返すことはしたくなかったと思いますが、スターリングの父の事業が失敗し、スターリングが遠い地へ引っ越さなくてはならなかったことや、ラスカルが村のトウモロコシを食い荒らすなどして村人からも苦情が入り、スターリングも悲しかったけど、ラスカルを森へ返しました。

この絵画で描かれているのは、スターリングが遠い地へ引っ越さず、ラスカルが森へ返されず、ウィスコンシンの村でラスカルがスターリングと共に過ごしていたら、というアニメの最終回とはまた違う世界を描いたものだそうです(うろ覚えですが)。

絵画の背景はスターリングのお家にある壁掛け時計。体の大きくなったスターリングと、それに比例して少し年を取ったようにも見えるラスカル。

スターリングは勿論ラスカルを森へ返したくは無かったでしょう。実際一度森へラスカルを返そうとした時も「やっぱり無理だ」と水に入ってラスカルを迎えに行っていましたし。ラスカルも最終回で森に返される前、ボートの上で寂しそうな眼をしながらスターリングのことを撫でていたり、スターリングがラスカルに背を向けてボートを漕ぎだしたときには目を潤ませていたり、お互い離れるのは悲しかったと思います。

スターリングにとって、ラスカルはかけがえのない存在だったでしょうし、ラスカルにとってもそうだったと思います。かけがえのない存在と永遠に一緒に歳を重ねて、死ぬまで一緒に居れる、そんな世界を描いたこの版画こそ、ラスカルとスターリング二人にとって「かけがえのない世界」だったのかな、と思います。

というわけでお聴きください、平手友梨奈で『かけがえのない世界』。

というのはさておき、石川麻衣さんが描いたこの世界が僕は気に入ったので、この版画を購入することに決めました。本当に悩んだし、全部欲しいと思ってはいたんですけど、量より質。あれもこれも好き!な浮気性な人よりも、これが好き!とストレートな人がいいですからね。浮気性な人にはなりたくない。

さて、以下は個展に展示された作品をいくつかご紹介したいと思います。「ぜひ写真を撮ってSNSとかにあげてください」と言われたので、お言葉に甘えて掲載させていただきます。

石川麻衣「my trip,」

石川麻衣「my trip,」

石川麻衣さんの作品は一つの世界に基づいてつくられているもので、そのストーリーはこちらから見れますが、後ろに描かれている女性は恐らくストーリーの主人公、牡丹ちゃん。牡丹ちゃんは犬であるレオに恋をしますが、レオは寿命で亡くなり牡丹ちゃんは絶望します。作品の中にはLEO(レオ)、レオらしき犬の顔が描かれた瓶が登場していますね。

この瓶僕はぱっと見香水の瓶みたいだなと思ったので、レオの香りが入っている瓶を見て(もしくは蓋を外してレオの香りを身に纏う)、絶望していた牡丹ちゃんの周りに花が咲く....という風に僕は解釈しています。

石川麻衣「運命のリボン」

石川麻衣「運命のリボン」

この絵好きです(ド直球)。ウェディングドレスを身にまとった牡丹ちゃんと思われる女性と、レオと思われる犬が手を取って誓いのキスをしようとしている瞬間を切り取ったのかな。お互いが結婚式を挙げるほど愛し合っていることがわかる、素敵な絵。

ちょっと暗い色かもしれないけど、ピンクや薄い青色などの鮮やかな色を使っていて、不思議な感覚になるのもこの絵が好きな理由です。

石川麻衣「goldfish」

石川麻衣「goldfish」

これも好きです(直球)。黒一色でまるで水墨画のように見えるかもしれません。写真だと伝わらないかもしれませんが、実はこの紙、マーブリングが施されていて、薄く青やピンクっぽい色が見えます。しかも、この紙なんと和紙を使っているそうです。和紙にマーブリングをして、その上でリトグラフと呼ばれる版画の手法で1色刷りをしているとのこと。

調べてみるとリトグラフはドイツで考案されたもので、その後ヨーロッパに広がり日本には江戸時代に伝わってきたそう。海外のモノと日本のモノが融合して一つの作品になる。異文化(っていうのかは分からないけど)融合っていいですよね。新たな発見につながりますし、純粋に見ていて楽しい。

マーブリングは僕も小さい頃、近くのガスの科学館でやってた工作教室でやったことがあるんですけど、どうやってもサイケデリックな模様になってしまったような記憶があります。この淡い色を出すの凄い難しいと思うんですよね。凄いなあ。


ちょっと前までの自分は絵なんてどこがいいんだろうなんて思っていましたが、まさか自分が絵画を購入することになるとは。これも大人の階段を上るという事ですかね(笑)

この版画は僕の部屋を入るとすぐ視線に入る壁にしっかりと飾ってあります。引っ越したらリビングか玄関入ってすぐのところに飾る予定。玄関よりも長居するリビングの方がいいかな、なんて考えてはいますがどうなることやら。

石川麻衣さんの作品展示は4月以降もありますので、気になった方はぜひ見てみてください。詳しくはサイトへどうぞ

また、絵画が気に入った方は購入もできるそうなので、良かったらこちらからどうぞ