たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

ロシアによるウクライナ侵攻への私見

ロシアによるウクライナ侵攻から約1ヶ月が経過しました。ロシアやウクライナは勿論、全世界がここまで長期戦になるとは想定していなかったのではないでしょうか。今も戦闘を続けている兵士たちに敬意を表します。

日本のメディアは殆どが「ロシア=悪、ウクライナ=善」とし、報道もウクライナ側に立ったものが多い印象。そして、中国や北朝鮮などはロシア側に立った報道や、動きを見せています。所謂レッドチームと自由主義陣営が明確に対立をしています。

ここから先はあくまでも僕の私見になります。所属する団体や組織とは無関係なものです。その点ご承知おきを。


今分かっていることをまとめます。(全部ではない)

  1. ロシアが「特別軍事作戦」と称し、ウクライナに侵攻したこと
  2. ロシアがウクライナの首都キエフにあるテレビ塔を爆破したこと
  3. ロシアが産科・小児科病院へ攻撃を行ったこと
  4. ロシアが商業施設に空爆を行ったこと
  5. ロシア側の攻撃によって民間人の死傷者が出ていること
  6. ロシアとウクライナが停戦協議を行っているが、未だに合意できていない

ぐらいですかね。ほかにももっと分かっていることはあるかもしれませんが、全てを把握することはできないので、あくまでも僕が日頃の報道を見て把握していることを列挙しています。

ロシアによる産科・小児科病院への空爆は、ロシアは「病院は現在兵士によって使われていて、小児病院では無かった」と声明を出しています*1。病院は既に病院でなく、兵士が利用する軍事拠点だったために空爆をした、と正当化をしているのですね。ロシア側がどのようにしてこの病院が軍事化されていると把握したのかは分かりませんし、仮に兵士が出入りしていたとしても、それが軍事拠点として使われている証拠にはなりません。いくらロシアが正当化しようとしたところで無駄。

そして、3月20日ロシア軍は首都キエフのショッピングセンターを空爆。これによって8人の死者が出たとのこと。8人が兵士なのか、民間人なのかまだ不明ですが、これもロシアは「ロケットシステムの保管に使われていた」と、あくまでも軍事目標への攻撃であって、民間人への攻撃を意図したものではないと正当化。病院への攻撃と同じですね。民間人が多く居る場所への攻撃は事実なのだから、いくら正当化したところで無駄。

民間人への攻撃は国際法違反ですし、民間人へ攻撃したものではないとしたところで、ショッピングセンターや病院はそれぞれの施設として稼働していたでしょうし、それはロシアも「ウクライナは民間施設を盾として利用している」と、民間施設を攻撃していることを認めているではありませんか。民間施設への攻撃をいくら正当化しても国際法違反であることに変わりない。


しかし、先日マリウポリで子供たちが避難をしていた劇場が空爆された件に関して、ロシアは「軍用機は市内の標的を攻撃する任務は行っていない」と否定をしていることから、必ずしもロシアが空爆したとは言えないと思います。病院やショピングセンターのようにロシアはやったことはやったと認めていますし。ロシア軍がやったとしても、上からの指示はなく兵士が独断でやった可能性もあるのかな、と思います。もしくはウクライナによる偽旗作戦。


決してロシアを擁護しているわけではありませんが、ロシアが否定しているのに「ロシアがやった!」と一方的に決めつけるのはどうなのかな、と思います。

ゼレンスキー大統領はEUやNATOへ加盟をしたい。しかしロシアはウクライナのNATOやEUへの加盟を阻止したい。だからウクライナへ侵攻してきた。ゼレンスキー大統領にとってはロシアが邪魔な存在であることは確か。だからいっそのこと、世界各国にロシアへ制裁を加えてもらうことで、ロシアを内側から崩壊もしくは体制を転換させて、邪魔なロシアを弱体化させウクライナをNATOやEUへ加盟させる、だからロシアがいかに悪な存在であるかを世界中にアピールすることで共感を得て、制裁に加わってもらう。なんて僕は考えてしまうのですが、我ながら酷い妄想ですね。

ロシアが悪であることには変わりないのですが、両者の言い分を聞かないといけないですよね、ということを僕は言いたいわけです。一方的に「ロシア=悪、ウクライナはそれに立ち向かう勇者だ」みたいな報道をされても、それは中立的報道と言えるのかな。

日本のメディアはロシアのメディアを「プロパガンダだ」と言っていますが、逆にこちら側がプロパガンダかもしれませんからね。ロシア=悪と植え付けるための。劇場への空爆しかり、ロシアがやっていないことをロシアがやったと断定するのはどうなのかな。仮にロシアの国旗が描かれた戦闘機だったとしても、中に乗っていたのはウクライナ軍でウクライナによる偽旗作戦という可能性も否定はできませんしね。

ただ病院への攻撃やショッピングセンターへの攻撃はロシアも認めていることで、これらは非難されるべきことです。


しかし、今回のウクライナ侵攻、ロシアが100悪くウクライナは1mmも悪くないかと言うと、僕はそうでないと思います。

ウクライナはロシアとEU、NATOの緩衝地帯でもあって、ウクライナがEUやNATOに加盟すると、ロシアにとっては隣国にEU、NATO加盟国ができて脅威になることは、日本も分かることでしょう。日本とEU,NATOは対立しているわけでは無いので、そのまんま捉えることはできませんが、中国やロシア・北朝鮮が隣国にあり、日々その脅威にさらされている日本はロシアの気持ちも理解できるのではないでしょうか。敵まではいかなくとも、対立している国が隣国にできるというのは。

その気持ち自体は理解できるのですが、ロシアはそれを力で解決しようとしているからよくなかったんですね。

NATOは確かに対ロシアへの枠組みであることは確かですが、それはロシアへ侵攻するのではなく、あくまでも加盟国が攻撃を受けたら他の加盟国が集団的自衛権を行使して、攻撃を受けた加盟国を共に防衛する、というのがNATO。

NATOへの加盟はウクライナの内政問題であってロシアがそれに干渉する権利は無いのですが、ウクライナはロシア側の懸念も聞いたうえで、判断すべきだったのではないでしょうか。頑なに「加盟するんだ」というのではなく、NATOへ加盟する代わりにロシアと不可侵条約を締結するとか。

これはロシアにだけでなく、ウクライナにも言えることですが、戦争が起こる前に双方が歩み寄って対話での解決を模索した方が良かったのではないでしょうか。簡単に話し合いできるわけがないと言えばまあそうなんですけど、だからと言って端から戦争で解決しようとなるのは愚かなように思います。

ロシアは昨年末からウクライナとの国境に軍を派遣していましたし、ウクライナ侵攻前には国境でベラルーシと合同軍事演習も行っていました。その時にゼレンスキー大統領はロシア側へ歩み寄る必要もあったのではないでしょうか。

何度も言うようでしつこいですが、武力の紛争解決を望みウクライナに侵攻し、民間人をも巻き込むロシアが悪いのは勿論のことですが、じゃあウクライナが全く悪くないかというとそうではないかと。ウクライナ侵攻の兆候は昨年から見えていましたし、NATO、EU加盟という自らの目標の為ならロシア等の周りはどうでもいい、というのも外交的にどうなのかと思います。

「ゼレンスキー大統領はコメディアン出身で政治の経験が浅い、無能」なんてことも聞きますが、僕はそうではないのかなと。政治の経験が浅いからこそできることだってあるだろうし、現に国際社会を巻き込んでロシアへの経済制裁を加え、ロシアの内側からじわじわと締め付けていくことに成功していますし、ウクライナ市民や兵士の士気が高いのも、自国を守るためというのは勿論ですが、ゼレンスキー氏という国民的芸能人という国民に広く愛されたゼレンスキー氏がキエフに残って指揮を執っているからというのもあるでしょう。

ロシアに真正面からぶつかっても勝てる可能性は低いからこそ、国際社会に広く訴えて、少しでも国民や軍の士気を高めるためにキエフに残って積極的な情報発信、指揮を行っている。ゼレンスキー氏が一人で考えたものではないでしょうが、これも一つの戦略ではないかと。

少なくとも2日でウクライナをとれる、ウクライナ国民はロシア軍を歓迎すると思い、力で現状変更を試みるプーチン大統領よりかは有能な政治家だと僕は思います。

ロシアだけでなくあらゆる国々言えることですが、力で解決しようという愚かな思考を放棄しない限り、世界に平和が訪れることは無い。力で解決しようとしたものに対しては、それ相応の罰が下る。

特に「弱者は強者に喧嘩を売るべきでない」とツイートした、中国総領事館。日本では昔から言われていたことですが、力の強いものはその力を弱いものを助けるために使うべき。強い力を弱いものへの脅しに使ったり、ロシアのように力で弱者をねじ伏せるような正しい力の使い方をしないような国は考えを改めるか、滅びるべき。そんな国があるからいつまで経っても世界は平和にならない。

ロシアによるウクライナ侵攻への私見