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「大人」になりたくない人の雑記

憲法9条で日本は守れない

ロシアが一線を越えてしまいました。ウクライナに侵攻し、一般市民まで攻撃し犠牲者が出ています。

ロシアによるウクライナ侵攻で、一時日本国憲法9条がトレンド入りするなど、話題になりました。憲法9条があればプーチンはウクライナに侵攻しなかったと日本共産党の党首志位和夫氏は語りますが...本当?

国連憲章にも日本国憲法9条と似た条文がある

日本国憲法 第9条

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

出典:日本国憲法 | e-Gov法令検索

国連憲章 第2条4項

すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

出典:国連憲章

日本国憲法第9条と国連憲章第2条4項の比較

日本国憲法第9条と国連憲章第2条4項の比較

日本国憲法9条と国連憲章の違いとして、日本国憲法は武力による威嚇又は武力の行使を「放棄する」としているのに対し、国連憲章では「慎まなければならない」と放棄はしていないこと。2点目が日本国憲法では陸海空軍を保持せず交戦権を認めないとしているのに対し、国連憲章ではそのような文言はないことです。

また、抽出しているのは国連憲章第2条の4項のみですが、国連憲章の第2条の3項には「すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危くしないように解決しなければならない。」ともあり、国際紛争は平和的手段によって解決しなければならないと明記されています。国連憲章2条の3項と4項を併せることで、日本国憲法第9条と似たような条文になります。

そして、この国連憲章のある国際連合には今回ウクライナに侵攻したロシアも加盟し、国連安全保障理事会の常任理事国。それなのにロシアはウクライナに侵攻し、罪なき市民を殺害しています。

志位和夫氏による憲法9条に関する発言

日本共産党党首 志位和夫氏による憲法9条に関する発言

日本共産党の党首志位和夫氏は「憲法9条をウクライナ問題と関係させて論ずるならば、仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」とツイートしています。

しかし、憲法9条と同様の文言のある国連憲章、つまり国家間の決まり事すら順守しない国が果たして、自国のルールを守るでしょうか。

ロシアの憲法では日本国憲法同様、人権や市民の自由を保障する条文がありますが、モスクワで反戦デモを行った人たちは次々と拘束され、その数1400人以上。プーチン氏に批判的な野党のナワリヌイ氏は毒を盛られ殺害されそうになり、今日に至るまで拘束されているなど、憲法をガン無視したようなことを平然と行っています。ロシアに憲法9条があったとしても、ロシアは平然とウクライナに侵攻していたでしょう。

仮に日本共産党の主張の通り、ロシアに憲法9条があって「ロシアは攻めてこないだろう」と言って自衛隊を解体・武力を放棄し、ウクライナのようにロシアが侵攻してきたら日本はどうする?抵抗する方法もなく、人が次々と死んでいくのを指を咥えて見ていろというのでしょうか。ふ

日本共産党参議院議員 山添拓氏の憲法9条に関する発言

日本共産党参議院議員 山添拓氏の憲法9条に関する発言

何度も言いますが、憲法9条と同様の文言がある国連憲章があり、ロシアも国連に加盟していて国連憲章を順守しなければならない立場にあるのに、結局こんなことになっている。

要約すると、山添氏は「戦争を防ぐには9条だけで足りない、対話と協力の地域を気付く普段の外交努力があってこそ平和は維持される」と言っています。

それに、日本のように憲法が最高法規の国であるならばまだしも、そうでない国もあります。

日本と中国の法体制の違い

日本と中国の法体制の違い

日本の隣国・中国は憲法に以下のような文言があります。

第一条 中华人民共和国是工人阶级领导的、以工农联盟为基础的人民民主专政的社会主义国家。

社会主义制度是中华人民共和国的根本制度。中国共产党领导是中国特色社会主义最本质的特征。禁止任何组织或者个人破坏社会主义制度。

(以下Googleによる翻訳)

第一条 中華人民共和国は、労働者階級が主導し、労働者と農民の同盟に基づく人民民主的独裁政権下の社会主義国です。

社会主義制度は中華人民共和国の基本的な制度です。中国共産党のリーダーシップは、中国の特徴を備えた社会主義の最も重要な特徴です。いかなる組織や個人も社会主義システムを弱体化させることを禁じられています。

出典:中华人民共和国宪法 _ 滚动新闻 _中国政府网

中華人民共和国憲法内に、「中華人民共和国は中国共産党のリーダーシップによる民主的独裁政権下の社会主義国です。いかなる組織や個人も社会主義システムを弱体化させられることを禁じられています」と明記されており、憲法が中国共産党を護る形になっています。

仮に憲法9条が中国の憲法にあったとして、中国共産党が「尖閣に侵攻する」と言えば、「中国共産党のリーダーシップによるもの」であり、憲法は形骸化します。というか既に形骸化しています。憲法の上に中国共産党があるので、中国共産党はやりたい放題。

中国共産党が「武力による威嚇・行使はやめる、武力は放棄する」と言えばそれはそれで解決ですが、そんなことはやるでしょうか。南シナ海、台湾、インドなど周辺国との領土問題を抱えている中国が自らそんなことするわけがない。

それに、ロシアがウクライナに侵攻するかもってなった時、アメリカのバイデン大統領をはじめ、フランスのマクロン首相、インドのモディ首相や日本の岸田首相まで、世界各国がプーチン大統領と会談を行っています。しかし、会談から間もなくロシアはウクライナに侵攻。対話と協力で戦争が防げるのであれば、日本共産党の方々がプーチン大統領と会談をして戦争を止めてきてみたらいかがですか。

日本共産党党 首志位和夫氏による憲法9条に関する発言

日本共産党党首 志位和夫氏による憲法9条に関する発言

僕のような「憲法9条では日本を守れない」と主張する人たちを、山添氏や志位氏は「憲法9条をけなす人、攻撃する人」と言っています。志位さんはそのような人たちに「この危機にあって、憲法9条を攻撃し、国連は無力と言いつのる議論の行き着く先はどこか。『力の論理』をひたすら信奉することだ。それをいま、最もひどい形で実践しているのは誰か。プーチン大統領だ。『力の論理』に『力の論理』で応えることを否定したのが、国連憲章であり、憲法9条ではないか。」とツイートしています。

志位氏の仰る通り「力の論理」に「力の論理」で応えるのを、国連憲章は否定しているのでしょう?そして、その国連にはロシアも加盟しているのでしょう?であれば、ロシアの侵攻を止められなかった国連憲章・国連は無力だったでしょ?志位氏の仰る「力の論理に、力の論理で応えるのを止めること」が国連憲章・国連にはできなかったのだから。

そもそも、国連は第二次世界大戦の開戦を防ぐことができなかった反省から設立された経緯があるのに、戦争が起こるのを止められなかったら、国連は無力で存在意義が無いと言われるのは当たり前。日本は常任理事国でも無いにもかかわらず、国連に世界で三番目に多い3600億円もの資金を拠出している国なので特に。


結局のところ、国連憲章も国際法といった法律や決まり事は中国やロシア、朝鮮のような帝国主義国家・ならず者国家の前ではただの紙切れ同然。そんな国に憲法9条があったところで、そんなものは無視して侵攻してくる。対話で解決できるのであれば、こんなことにはならなかった。日本の周辺国はこんなならず者国家ばかり。今回の件で例えるならばウクライナの立場。

日本共産党は「憲法9条を守る」と言っています。勿論日本も守るべきですが、憲法9条を守るべきは日本に侵攻しようとしている、あるいは日本の領土を不法占拠をしている日本の周辺国。だから自衛隊を違憲として解体したいのであれば、まずは周辺国に憲法9条を布教すべき。

まあ...日ソ中立条約を一方的に反故にして北方領土に攻め込んで来たロシア、慰安婦合意を一方的に反故にして謝罪とカネを要求して来た韓国、外交官の不逮捕特権を定めたウィーン条約を順守せず日本の外交官を拘束したり、台湾へ戦闘機の威嚇飛行を行う中国、国連安保理決議に反しミサイル発射や核実験を繰り返す北朝鮮、そんな国々が憲法9条のようなものを制定したところで順守するとは思えませんが。

ウクライナは「ブダペスト覚書」で核兵器を捨てる代わりにアメリカ・ロシア・イギリスに守ってもらう確約を結んでいたのに、アメリカはウクライナに軍を派遣しておらず、ウクライナを援護していない。日本だってアメリカが必ずしも守ってくれるとは言えない。

ウクライナは軍があるからまだ抵抗ができている。日本が自衛隊を解体して自国を防衛する能力が失われたときに他国が侵攻してきたら、日本はどう自国を守る?国民が血を流して死んでいくのを指を咥えて見ていろと?それとも相手は武器をもっているのに「話し合いで解決しましょう」とでも言うのか?話し合いで解決できていれば、そもそも侵攻なんてされないし、戦争なんて起こらない。

憲法9条はあくまでも「日本から他国に攻めることはしませんよ、戦争を起こしませんよ」と言っているものであって、日本が他国に攻められないことを保障するものではない。日本が戦争を起こすことは防ぐことができても、日本が侵攻されて戦争に巻き込まれない確証はない。

「自衛隊を憲法9条違反だ、解体しろ」というのは勝手ですが、自衛隊が解体され、日本が侵攻された時に日本はどうする?だから憲法9条を改正して、自衛隊を国防軍として明記しようと言っているのです。そしてこういう「自衛隊は違憲だ、解体しろ!」という不毛な議論を無くそうと言っているのです。

もし自衛隊が違憲だ、憲法9条を守るというならば、周辺のならず者国家からどのようにして日本を守るか、納得のいく対案を出してからにしていただきたい。

憲法9条で日本は守れない