たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

もう迂闊に中国には行けない。中国で改正反スパイ法が施行。

今週末は3連休ですね。最近カメラも使ってないし、どこか出かけようかとは思っているんですけど、結局暑さと疲れで3日間とも家でダラダラ過ごすんだろうなあと、予想しています。行きたい場所はあるんですけど、いかんせん暑いですからね。3連休なので人も多いでしょうし。

3連休もありますが、夏休みもそろそろ。外国に旅行に行くという方も居るとは思いますが、中国に行くのは避けるべきだと思います。その理由が、タイトルにもありますが、中国で反スパイ法が改正・施行されたためです。

もう迂闊に中国には行けない。中国で改正反スパイ法が施行。

改正された中国の「反スパイ法」とは

中国の「反スパイ法」は2014年に施行されています。施行当時は「国家の秘密や情報」を盗み取る・提供する行為が対象でした。この法律の制定後、日本人は合計17人がこの反スパイ法によって拘束されています。

この法律の問題として、挙げられているのが、容疑が不明のまま拘束をされているということです。

今年の3月にも、日本の大手製薬会社であるアステラス製薬の社員が拘束されており、例にもれずこの社員も拘束された理由、容疑は不明です。そのため、どのような行為がスパイ行為にあたり、拘束されたのかが分からないのです。

改正される前ですらこのような問題点があったにもかかわらず、中国は今年7月1日にこの法律を改正しました。

改正法の問題点

定義が曖昧で不当に拘束されるリスクも

7月の法改正によって、これまで「国家の秘密や情報」のみが対象だったのですが、そこに「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品」も新たに対象として加えられました。

問題なのは「国家の安全と利益」が何なのか、という定義が曖昧なことです。定義が曖昧だと何が問題化というと、たとえば道を歩いてどこかの写真を撮っただけで「写真を撮ったな?国家の安全と利益を害する。逮捕する」と言われてもおかしくないんですよね。

何をしてはいけなくて、どこまでならしていいのか、その境界が不透明なために、上記のようなケースが起こりえます。

「密告」が条文化

また、「いかなる公民と組織も、スパイ行為を発見したならば、速やかに国家安全機
関に通報しなければならない」という条文が追加され、中国人や、企業などがスパイ行為を発見した場合は国家安全機関に通報しなければならない、とスパイ行為の通報を義務化しています。

北朝鮮には互いを監視しあい、一言でも政府を批判するような発言をすれば、政府に「密告」し、そのような発言をした人物は連行されるということが有名ですが、中国もそのような「密告」ともいえる制度が条文化されたということになります。

「しなければならない」と義務付けられた上に、スパイ行為を通報した者には表彰・奨励が与えられるということも条文化されています。この「ご褒美」目当てに、あることないこと因縁をつけられ、何もしていないのにスパイにでっちあげられ、不当に拘束をされる可能性があります。

また、この法に違反した場合にはもちろん刑事責任を追及されるわけですから、中国人がスパイ行為を通報しなかった場合、中国人自身が罰せられます。だから中国人も少しでも怪しいと思ったら、自分を守るために「密告」をするわけです。

つまり、これからは中国政府のみならず、中国人全員に対して警戒をする必要があるということなのです。

ビジネスで得た情報も「国家の安全と利益に関わる」もの?

中国でビジネスを行っている企業も多いですが、ビジネスでもし中国企業と関わっているのであれば、注意が必要です。

もし現地の企業と取引などを行っていて、例えば企業の売り上げ情報や、顧客データ、その他なんかしらの情報を交換したり、受け取ったりしていれば、それが「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品」となり、スパイとみなされ拘束される可能性があります。

また、ビジネスの前には必ず調査をするはずです。例えば中国で服を売るとすれば、じゃあライバルにはどんな企業があるのか、どんな服を売っているのか、お客さんはどのくらいの年齢層でどのくらいの男女比なのか、とか。そういった調査で得られた情報も「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品」にあたり、スパイとみなされる可能性がある。

繰り返しにはなりますが、一番の問題点は「国家の安全と利益に関わる文書やデータ、資料や物品」が一体何なのか。どこからどこまでがこれに含まれ、どこからどこまでがセーフなのか、その定義が曖昧だからこそ、こういった懸念が出てくるわけですね。

最高刑は「死刑」

しかも、この法律に反した場合、中国の刑法によって処罰されるとしており、最高刑はなんと死刑です。

定義が曖昧、容疑も不明なまま不当に拘束され、日本に二度と帰れず、異国の地で死刑に処される可能性があります。こんな恐ろしいことはありません。

死刑ではありませんが、過去には中国の刑務所で服役中だった日本人が、刑務所内で病死した事例もあります。中国に行ったら最悪二度と日本に戻れないんです。

米国務省「中国への渡航は再考を」

アメリカの国務省は「中国で不当に拘束される可能性がある、中国への渡航は再考を」と勧告しています。

その理由は上記でも述べてきた条文の定義が曖昧なことにより、無意識のうちにスパイ行為を行ってしまったり、スパイだとでっち上げられ、不当に拘束をされる可能性があるからです。

中国と米国は言わずもがな犬猿の仲であり、実際、今年5月にアメリカ国籍の人がスパイ行為にかかわったとして、無期懲役を言い渡されています。この件も例にもれず、何がスパイ行為にあたったのかが不明です。

また、ニューズウィークによると今年3月末の時点で200人以上のアメリカ人が拘束されているとのこと。実際の人数は把握しきれていないとのことですが。

憶測にすぎませんが、中国はアメリカ人を拘束し、政治的に利用しようとしている可能性があります。いわゆる人質外交ですね。アメリカは日本の同盟国でもあり、その対象が日本人にも及ぶ可能性は否定できません。

だからこそ、アメリカ人を守るためにも、このアメリカ国務省の勧告は妥当なものと思います。

日本政府は何もせず。自分を守るためにも中国への渡航は避けるべき。

アメリカ国務省は「中国への渡航は再考を」と勧告を出していますが、日本政府ならびに日本外務省は何もしていません。

中国の新疆ウイグル自治区やチベット自治区に関しては注意レベル1を発出していますが、そのほかの地域には特に危険情報などを出していません(2023年7月09日時点)。

また、今年3月に拘束されたアステラス製薬の社員も未だ拘束されたままであり、日本政府が早期解放を求めていますが、中国は応じていません。

これは日本政府が体たらくなわけではなく、アメリカ人も未だに200人以上が拘束されていることから推測できますが、いくら政府が働きかけをしたとしても、解放されるという保証は無い。

ならば自分を守るためにも中国への渡航は避けるべきではないでしょうか。「一般人だから」「観光目的だから」大丈夫という確証はありません。中国への渡航を検討している方は今一度考えなおすことをお勧めします。