たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

中国の気球問題、日本よ恥ずかしくないのか。

大分報道も落ち着いてきましたが、アメリカの上空で未確認飛行物体が発見され、それが中国の偵察気球だったと明らかになった問題。

日本でも3年ほど前から宮城県上空で謎の白い飛行物体が発見され話題になっていましたが、先日日本はこの飛行物体を「中国の偵察気球であると強く推定される」と発表しました。日本よ、恥ずかしくないのか。

日本の危機感の無さ、防衛意識の低さが世界に晒される

約3年前に宮城県で発見された、正体不明の飛行物体。当時は話題になっていましたね。Twitterでも写真が沢山投稿されていたような記憶があります。しかし今思えば、当時の日本の対応は非常に残念なものでしたね。

自衛隊・警察「わかりません」、当時の河野太郎防衛相「気球に聞いてください」

当時のKHB放送のニュース*1では宮城県で発見されたこの気球について、気象庁は「気象庁のものではない」、警察は「落下の心配は無いが、確認中」、東京航空局は「事前に連絡がないが、万が一のことを考え監視を続ける」、陸上自衛隊は「誰が何のために飛ばしたか不明。警察と連携して情報収集を進める」とコメントを発出しています。

そして、当時の河野太郎防衛大臣は記者からの問に対して「気球に聞いてください。ん?ああ~、安全保障に影響はございません」と酷い対応。

僕も当時はさほど気にしていなかったので、他人のことを言う資格はないんですけど、どこから来たかも、誰が飛ばしたかも、何のために飛んでいるのかも分からない気球が何日も上空を漂っているのに、安全保障に影響はないと断言できるのがすごいですよね。自衛隊も警察も分からないのに。当時の河野太郎氏は何を根拠に断言したのか。

というか「気球に聞いてください」じゃなくて、気球を捕まえて調べるのがあなた方の仕事でしょうに。それを記者にやらせるのって職務放棄でしょ。まあ冗談で言ったんでしょうけど。

結局約3年後にこの気球は中国の偵察気球である可能性が高いとなって、河野太郎氏の「安全保障に影響はございません」との発言がいかがなものかと追及されているのですが。

この一連の対応で、日本の防衛意識の低さが約3年後の今になって世界中にさらされてしまいましたね。ところで自衛隊は「警察と連携して情報収集に努める」って言っていましたけど、結局情報収集した結果どうだったんでしょうね。特にマスコミに報じられていないあたり、情報収集しても結論は「不明」だったのかもしれませんね。

ちなみに、この2020年6月に宮城県で発見されたこの正体不明の気球以降、2021年9月に青森県、東京都小笠原諸島上空、2022年4月には沖縄県座間味島上空にて類似する気球が発見されているようです*2。これは知らなかった。もしかしたらニュースにはなっていたのかもしれませんが、今回のアメリカほど大きくは取り上げていなかったのでは。

これほど正体不明の気球が日本の領域上空を飛行しているのに、政府もメディアも誰も危機感を持たない。中国はきっと嘲笑しているでしょうね。「あいつらあんなに飛ばしても全然なんも言ってこねーぞ。それどころか『気球に聞いてください』だってさw」ってね。あぁ...恥ずかしい。

約3年後の今になってアメリカの後を追い「中国の偵察気球であると強く推定される」と発表。

そして、今年になってアメリカ・カナダの上空で正体不明の気球が発見され、アメリカが「中国が飛ばしたスパイ気球である」と発表し、アメリカの後を追って「2020年に宮城県上空で確認された飛行物体について、中国の無人偵察用気球と強く推定される」と日本も発表しました。その上で以下のような対応をとりました。

これを受け、日本政府は、中国政府に対し、外交ルートを通じて事実関係を求めたうえで、「今後このような事態が生じないよう強く求める」とともに、「無人偵察用気球による領空侵犯は断じて受け入れられない」と申し入れた。

防衛省は、「わが国の許可なく領空に侵入すれば領空侵犯になる」として、情報収集と警戒監視に努める方針。

出典:「中国の無人偵察気球と強く推定」 “日本領空の物体”で防衛省|FNNプライムオンライン

アメリカが領空侵犯されたら撃墜したのに対し、日本は情報収集と警戒監視ですか...。まあそれぞれの国の判断でしょうから仕方はないのかもしれませんが、納得いかないですね。理想は撃墜ですが、そこまではいかなくとも最低でも捕捉して調査はすべきだと思います。でないと結局飛ばしたもの勝ちじゃないですか。「断じて受け入れられない」と言っておきながら、飛んでいるものを見ているだけなら、受け入れているも同然ですよ。

というか、アメリカの発表後に「やっぱあれ中国の気球かもしれません」というのも、中国からも「アメリカに追随して騒ぎ立てるな」と言われていますが、本当にアメリカの後を追う犬のようでみっともないですよね。恥ずかしくないのか。よくもまあこんな発表をできたものですね。しかも断定ではなく推定。恥に恥を上塗りしてどうする。

それに、日本政府が「中国のものだと強く推定」と発表したのが2023年2月14日。アメリカが気球を撃墜したのが、2023年2月4日。その後にアメリカ側で撃墜した気球の回収と調査が行われたと報じられています。僕の憶測でしかないのですが、アメリカが調査結果などを日本政府に共有して、2月14日に日本が発表するに至ったのではないのかなと。憶測ですよ、憶測。もちろん、こんな大事になったので日本が慌てて調査をして「やっぱあれ中国のものかも」となったのかもしれませんが。いずれにせよ、この危機感の無さと行動の遅さよ。

僕は気球を飛ばすこと自体は問題ないと思っている

ちなみに僕は気球を飛ばすこと自体は問題ないと思っています。なぜかというとそもそも宇宙には人工衛星が多く飛んでいて、航空写真も撮られているため。それもかなりの高画質で。アメリカで回収された気球には通信を傍受するような装置もついていたとのことですが、中国の技術があればサイバー攻撃や、内部にスパイを送り込むこともできると思うし、そっちの方が得られる情報は多いと思う。

今回のは明確なスパイ気球と言われていますが、各国気象観測用の気球は飛ばしていますし、それも意図せず他国に入ってしまうこともあると思います。そのため気球を飛ばすこと自体は僕は何の問題もないと思っています。

問題なのは、許可なく他国の領域に侵入したこと目的や誰が飛ばしたのかを明確にしないことだと思います。他国の領域に侵入することは明確な国際法違反です。

仮に意図せず入ってしまったとしても、気球を飛ばした以上それがどこを飛んでいるのかをしっかりと管理する責任があり、他国の領域に侵入した時点で通告をすべきでした。しかし2020年の日本で発見された気球問題といい、今年のアメリカの気球問題といい、どちらも「誰が飛ばしたかはわからない」と発表している時点で、中国はそのような通告もしていなかったと思います。自国の飛ばしたものに対して無責任すぎます。

それに他国の領域にものを飛ばす行為は、相手からしてみれば「え、何のため?」となるのは至極当然。中国は何の目的で、どこの誰が飛ばすのかも明らかにしておくべきでした。まあここで「あなた方の国の軍事情報を知りたいからです」という国は無いでしょうが、ここで噓をつけばそこを突くことができますからね。「気象観測と言っておきながらなぜ通信を傍受する装置が付いているのだ、気象観測ではないだろ!」とね。


昨今、防衛費の大幅な増額、それに伴う増税など騒がれてはいますが、結局カネをいくら積んだところで、それを使う当の自衛隊や防衛省が危機感を持たず、こんな対応をしていれば、豚に真珠ですよ。

防衛費の増額は否定しませんが、まずは意識を変えた方がいい、というか変えるべきだと強く思います。

中国の気球問題、日本よ恥ずかしくないのか。