たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

欧米は「中国によるウイグル人大虐殺」の証拠を開示すべき

先日から中国の新疆ウイグル自治区をめぐり、アメリカやEUをはじめ、世界各国が中国への圧力を強めています。

ウイグル自治区に関しては、アメリカをはじめ、日本でも以前から「弾圧が行われている」などと言われてきましたが、今年1月にトランプ前大統領が「中国政府はウイグル人を大量虐殺している」と認定して以降、3月にEUが中国に対し、天安門事件以降約30年ぶりとなる経済制裁を加えました。

「中国包囲網」、欧米 vs 中国と言う構図になっており、日本政府も欧米側について中国側に「懸念」を表明していますが、果たして欧米の主張する「大量虐殺」は実際に行われているのでしょうか。

アメリカの「前科」

アメリカはこれまでいろいろな国に言いがかりや、不当な圧力をかけ、競争を妨害してきたことがあります。その「前科」をいくつか見てみます。

アメリカの圧力で消えた幻の国産OS「TRON(トロン)」

今現在、OSといえばGoogle社のAndroid,Chrome OS,Apple社のiOS,Mac OS,Microsoft社のWindowsなどがありますが、世界のスマートフォンシェアにおいても、多くのスマートフォンがAndroidもしくはiOSを搭載しています。

しかし、1980年代の日本では東京大学の坂村健氏が「TRON(トロン)」という国産OSをつくりあげ、実際にそれを当時の通産省がPCにTRONを搭載しようとしていたのですが、アメリカ政府が不公正な貿易への対処、報復を目的とした「スーパー301条」に引っ掛かるとして、制裁を加えるという不当な圧力をかけました。

1980年代はアメリカと日本の間で貿易摩擦が生じており、このような圧力をかけたと考えられていますが、その結果、今日に至るまでMicrosoft社のWindowsが世界中で広く採用されています。

「イラクは大量破壊兵器を持っている」→戦争開始→ありませんでした

2003年、アメリカやイギリス、オーストラリアなどが「イラクは大量破壊兵器を製造、所持している」と主張し、「イラク市民を独裁者の圧力から解放する」、「イラクを民主化する」とし、イラクに侵攻しました。

最終的には1万人以上もの犠牲者を出したものの、アメリカが主張する「大量破壊兵器」というものはイラク中を探しても見つかりませんでした。

アメリカとともにイラクに侵攻したイギリスの当時のブレア首相は謝罪をしていますが、アメリカの当時のブッシュ大統領は謝罪もしていません。

イラク戦争については、アメリカのでっちあげや、石油利権など様々な仮説がありますが、闇が深いですね。

アメリカによるファーウェイの排除

日本のTRONと似ていますが、アメリカ政府は「情報流出の懸念がある」としてファーウェイに制裁を加え、アメリカから排除をしています。さらにはファーウェイにGoogle社のAndroid OSを使用できないようにしています。

ファーウェイはアメリカのApple、韓国のSamSungと競うほど世界でのスマホシェア率を高めており、5Gの基地局などの通信設備においては35.7%で、世界一位のシェア率を誇っています。

イギリスやアメリカは「証拠がある、証拠が見つかった」と言っていますが、その証拠を表には出していません。機密情報などもあるかもしれませんが、黒塗りでも証拠を出せば信ぴょう性が高まるのに、それを出していないのです。

これってイラク戦争の時と同じで言いがかりをつけているだけなのでは?と疑いの目をかけられてもおかしくないですよね。

 

確かにファーウェイは中国共産党政府向けに「ウイグル人識別技術」や、ファーウェイ製監視カメラが中国国内に広く設置され、アフリカにも輸出されている点などから、中国政府との癒着、関係は強いのかもしれません。

また、中国共産党が求めたら中国企業は個人情報などを中国共産党に渡さなければならないという義務もあり、ファーウェイがアメリカにおいて個人情報を収集し、それらの情報が中国共産党に渡されるといった可能性もなくはないでしょう。

 

しかし、そんなことを言ってしまえば、Face IDや指紋認証を搭載しているiPhoneやAndroidスマートフォンでも個人情報は収集していますし、日本の街中に設置されている監視カメラだって、どこかの企業がつくっているものですが、日本政府とそれらの企業が癒着しているわけではありません(裏金は貰っているかもしれませんが)。

また、中国政府に情報を渡さなければならないというものも、日本においても情報開示請求という制度もありますし、中国に限ったことではありません。

トランプ氏「コロナは武漢研究所から流出したという『証拠』をみた」

トランプ前大統領が「コロナが武漢研究所から流出したという証拠を見た」と発言し、昨年5月には「武漢研究所から流出したという報告書を出す」とも言っていましたが...。

あれ以降報告書って出ました?

日本でもこのトランプ氏の発言に対し、コメント欄には「トランプナイス!」「頼もしい」「やっぱり中共だった」などのコメントが投稿されていましたが、いやいやトランプ氏が「見た」と言い張っているだけで、その証拠は我々に公表されていないし、そもそもトランプ氏が本当に証拠を見たのか、証拠は本当にあるのか、それすらも分かっていないんですよね。

もし証拠が本当にあるのであれば、さっさとその報告書とやらを出せばいい話ですし、証拠も世界に向けて発信すればいいでしょう。

しかしそれをしないということは、やっぱりイラク戦争同様、言いがかりをつけて中国を陥れようとしているのではないか、と思います。

 

確かに世界中で初めて感染が拡大したのは中国武漢ですが、果たして本当に武漢研究所からこのウイルスが流出したものなのかというのは現時点では明らかになっていません。

今後の調査が待たれるところではありますが、まあWHOは中国の息がかかったテドロス氏がトップですし、中国は意地でも中国で発症したことは認めないですし、SARS同様真相は闇に葬られるでしょうね。

ウイグル問題に関しても確実な証拠は出ていない

アメリカの報告書にはウイグル自治区に関しても書かれたが...

アメリカは3月30日2020年の世界の人権状況に関する報告書で、ウイグルについて以下のように記されていたようです。

報告書は、現地の強制収容所では100万人以上が拷問や強制労働に従事させられていて、それを示す証拠もあるとしている。

出典:中国「ウイグルで大量虐殺」 バイデン政権初 人権報告書(フジテレビ系(FNN)) - Yahoo!ニュース

いやだから、その「証拠」があるのなら出してくださいよ。なぜそんな出し渋るのでしょうか。

この報告書に限らず、イギリスやアメリカも常々「圧倒的な証拠がある」と言っていますが、その証拠を出してほしいですよね。

これじゃあ中国に「明確な証拠がない」と言われてもそりゃあそうだってなります。

「中国統計年鑑で少数民族は減っていると証拠がある!」

こちらの記事では、「中国統計年鑑で新疆ウイグル自治区の少数民族人口は減少している」→ジェノサイドの証拠だとの主張が繰り広げられています。

「中国の発表する数字はウソだ、盛っている」、コロナの時も「中国にはもっと感染者が居たはずだ、過少申告している」と中国の発表を懐疑的に見るのに、この統計は「ほら証拠だ!」と情報を鵜呑みにしているあたり、ダブルスタンダードですね。

2017年以降、新疆ウイグル自治区における少数民族の人口が大きく減少しているとの発表ですが、2017年7月に中国高速鉄道がウルムチ駅まで延伸しており、ウイグル人が中国高速鉄道を利用し、北京などに移住した可能性も否定はできませんし、何よりもあくまでも「新疆ウイグル自治区」における少数民族の人口なので、他の自治区や、それこそ上京、他国へ移住という可能性もあり、人数が減っている!→ジェノサイドだ!と決めつけるのは尚早ではないかと思います。

でも確かに約2年間で165万人も減っているのは異常ですけどね。

「証言がある」「これが証拠映像だ」

BBCをはじめ、多くのメディアが「ウイグルで強制収容所に収容されていた女性が証言した」や、「強制連行の映像だ!」や、「ウイグル人モデルが強制収容所内で撮影」と報じていますが、これ信ぴょう性ありますかね?

有名なのがウイグル人が目隠しをされて電車に乗せられているという映像ですが、この映像だけでは本当にここがウイグル自治区なのかって分からなくないですか?(映像はこちら

大勢の犯罪者を移送するなら鉄道が一番効率的であり、護送車でこれだけの人数を送るとなると何台必要になるか。なので鉄道で輸送すること自体はあまりおかしなことではないかと。

確かにここにいる人たちはウイグル人かもしれませんが、「かもしれない」だけであって、確証はないでしょうし、この人たちが無実の人なのか、それとも何か罪を犯した人なのか、この映像だけでは分かりません。これを強制収用の証拠と捉えるのは無理なのでは?

目隠しをしているのも、これからこの人たちが拘置所などに輸送されるとして、拘置所の場所や、周辺の景色をシャットアウトすることで脱走を防ぐ目的もあるかもしれません。

証言に関しても、映像などの記録が残っていないので、証拠としては不十分では?ウイグル人モデルが収容所内の映像をスマホで撮影し、BBCに提供したというものもありますが、そんなセキュリティ弱いですかね。あんだけ監視カメラを置き、スマホには監視アプリを強制インストールするほどの徹底ぶりなのに、収容所内でスマホカメラで撮影ってなんか脆弱過ぎません?

スマホで撮影ができるなら、それこそ「収容所内で日常的に行われている」拷問や体罰の映像も撮影すれば、明確な証拠になると思うのですが...。

中国の「前科」

ここまで中国を擁護することばかり書いてきましたが、僕は擁護しているわけではありません。

勿論中国側にもジェノサイドを疑われる理由はあるので、それをいくつか見ていきましょう。

天安門事件

中国と言えば、この天安門事件ですね。民主化を求めて天安門広場に集まっていたデモ隊に中国人民解放軍が武力行使し、中国政府の発表で300人以上もの人々が死亡したと言われている事件。こちらは写真や映像も残っていますね。

中国において、中国共産党を批判するようなことがあれば、行方不明になるか、不当に拘束されるか、このように武力でねじ伏せます。

2009年、新疆ウイグル自治区のウルムチ市で中国共産党への抗議デモが行われました。それに対し、治安部隊は当然のように発砲し、弾圧します。中国の発表では180人ほどの死者とのこと。

そして、2013年にはウイグル出身の男とみられる人が運転した車が天安門広場に突入し、運転士含む5人が死亡、30人ほどが負傷。天安門広場といえば言わずもがな、毛沢東が中華人民共和国(現在の中国)の建国を宣言し、その毛沢東の肖像画も掲げられている、中国からしてみれば神聖な場所と言っても過言ではない場所。

さらに2014年には習近平国家主席が新疆ウイグル自治区を初めて視察した直後に、当時のウルムチ駅で自爆テロが発生。自爆したとされるのは新疆ウイグル自治区の独立を主張する組織の一員だったとのこと。

習近平からしてみれば、初めて視察した直後にこのような事件が起き、顔に泥を塗られたと思ったでしょうし、少しタイミングがずれていれば自分もまきこまれていたかもしれない、自分を狙ったのだろうと、恐怖に駆られていたでしょう。

事実この事件以降、ウイグル自治区には監視カメラが張り巡らされ、ウイグル人の監視を強化しています。

香港デモ

一昨年から行われている香港の民主化を求めるデモ。これも香港警察が市民に発砲、ゴム弾を発射するなどして弾圧をしました。全世界でその模様が報道されていましたね。

一部では香港警察がデモ隊に扮して自作自演をしたり、中国の武装警官が香港との境界近くに配備され、プレッシャーをかけると言ったこともありましたね。

天安門事件のところでも書きましたが、基本的に中国共産党は「中国共産党に反対する者は敵と認定」し、武力行使も辞さない構えです。

中国高速鉄道事故

2011年に起こった、中国高速鉄道の事故。記憶に残っているのではないでしょうか。

何らかの理由で動力を失い、停車していた高速鉄道車両に後ろから来た高速鉄道新型車両が追突し、40名が死亡したという事故です。

電車が追突するという事故自体、考えられないのですが、もっと考えられないのが、救援作業を早期に打ち切り、事故現場の横に穴を掘り車両を丸々埋めるという暴挙。

当時は中国政府が威信をかけて高速鉄道を中国全土に整備し、海外輸出までもくろんでいたことから、事態を収拾させ、なるべく早く運転を再開させようとしたためと考えられています。

しかし、一部のメディアでは車両を穴に埋める際に、死体とみられるものまで一緒に埋められていたとも報じられており、人の命を人の命と思わない、中国政府が人命を軽視している姿勢がこの事件から見て取れます。

そもそも、死者数40人と言うのもおかしいでしょう。

追突したのは日本の新幹線E2系の「はやて」をベースにした車両。追突した車両は衝撃で1両目から4両目までが高さ20m(地上約6F分の高さ)の高架橋から落下しています。

E2系と多少の相違はあるかもしれませんが、一車両の座席数は100席、先頭車両は約半数と考えても、1両目から4両目までで計350席あります。

事故当時満席かどうかは分かりませんが、シートベルトもない高速鉄道で、高架下に落ちるほどのスピードで停車中の車両と追突し、そのまま落下。

これで死者数が40人だけってのは明らかにおかしいと思うのですが、まあそこは中国。いつものことです。

道路陥没で3人が穴に落下→当局は穴にセメントを注入

中国の広州で地下鉄の工事をしていた道路が陥没し、清掃車両と電動スクーターが落下。3人が穴に落下したことが分かっていたものの、中国当局は救助活動をせず、その穴にセメントを注入しました。

清掃車両には50代男性と20代男性の親子が、電動スクーターには1歳の赤ちゃんをもつ男性が乗っており、今回のこの事件はこのスクーターに乗っていた男性の奥さんと清掃車両の親子の親族が中国版Twitterのウェイボーに掲載し、ネットで拡散されました。

また、この穴に落ちた3人の家族が市政府の庁舎前において抗議をしたところ、警察官に拘束されて行方不明とのこと。

この事件が伝わるとネットでは「中国人の命はアリ並みだ」や「当局による殺人だ」と炎上。

 

この人命を軽視している点、中国政府に反対する者は拘束または行方不明となり、弾圧には武力行使も辞さない点などからウイグル自治区でのウイグル人への弾圧が行われていると言われても、「まあ中国だし」と思われてもおかしくないですね。

中国は疑われても仕方がないことをこれだけやっていますから。日ごろの行いですね。

 

ただ、ウイグル人への弾圧しかり、強制収容や強制労働も、明確な証拠はありません。

新疆綿が話題になっていますが、ウイグル人が働いてそれに見合う賃金を得られているのであれば、それは強制労働とは呼べません。

賃金がしっかり払われている証拠もありませんが、逆に払われていない証拠もありません。

なので日本がウイグルに対して「憂慮している」とだけで、制裁に加担しないのも頷けます。だって証拠がないんですから。制裁に加担してほしいなら欧米は証拠を開示すべきではないのでしょうか。

そして中国ももし本当にウイグル人に対するジェノサイドを行っていなければ、外部から調査団を受け入れるべきでしょうし、国連も事前通告なしで抜き打ち調査なども行うべきでしょう。(事前通告をするとやましいことは隠されてしまうので)

ここからは憶測

トランプ氏は去年6月にウイグル人権法案に署名するなどしており、以前からウイグルでジェノサイドが行われていることを指摘していました。また、トランプ氏がウイグル人権法案に署名する以前からも、ウイグル自治区での人権問題はたびたび指摘されていました。

しかし、去年6月以降今年3月に至るまで、EUはじめ世界各国はウイグル問題に関して目立った行動はしていません。今年1月のトランプ大統領退任以降、EUも中国に対し約30年ぶりに経済制裁を加えるなど、目まぐるしく変化しています。

なぜトランプ大統領在任中は何もせず、バイデン大統領就任後にEUはじめ世界各国はアメリカに加担し中国に制裁を加えたのでしょうか。

そして、なぜ中国はジェノサイドの証拠ともなり得て、中国にとって不利な「ウイグル人の急激な減少」というデータを平然と公開したのでしょうか。

あくまでも憶測ではありますが、中国は裏で何か大事をやろうとしていて、ウイグル人に対するジェノサイドはその目くらましなのではないか、と陰謀論めいてはいますがそのようなことを考えてしまいます。

EUやバイデンはその中国の目くらましにまんまと引っ掛かっているのか、分かっていてわざと乗っているか。

あくまでも僕の完全な憶測ですが。