たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

日本共産党「ジェンダー差別をなくそう!」→「女性専用車両つくろう!」←え?

都議選が終わったわけですが、日本共産党の候補者が面白かったのでピックアップして紹介したいと思います。

「ジェンダー差別をなくそう!」といいながら「女性専用車両を増やそう!」と男性を差別

日本共産党の東京都委員会が以下のリーフレットを配布していました。そのまま載せると選挙法やら著作権やらめんどそうなので、リンクだけ載せておきます。
「#痴漢ゼロ東京」リーフができました | 日本共産党東京都委員会

簡単に言うと痴漢にあう女性が多いから、女性専用車両をつくりましょー、性教育を充実させましょー、性暴力救援センターつくりましょーなどを提案しているのですね。

痴漢は勿論許されないことで、被害にあった方はトラウマになることもあるでしょうし、電車に乗るのが怖くなるということもあるようです。なので、痴漢を無くそう!という意見には同意します。

しかし、「ジェンダー平等」を謳っておきながら、「女性専用車両をつくる!」と男性を差別するような政策を行うのはどうなのでしょう。ジェンダー平等を謳うのであれば、女性専用車両だけでなく、男性専用車両もつくる。もしくは、女性専用車両を無くす、女性「優先」車両とする必要があるのではないでしょうか。

こういうことを言うと、「痴漢をする男が悪い」という人も居るでしょうが、じゃあ男性の全員が全員痴漢をするでしょうか。しないですよね。「男が痴漢する」というのは言いがかりでしかないです。「変態な男が痴漢する」というのであれば、それはそうなのですが、主語が男全体となると、それは事実ではない。

この主張を鵜呑み...許容してしまうと、「女は痴漢をでっちあげる」という主張から男性専用車両をつくることもできちゃいます。でもそういうと一部の女性は「女が全員痴漢をでっちあげるわけでは無い」と主張する。自分のことは棚に上げて。

痴漢の被害にあっているのは何も女性だけではない

この日本共産党のリーフレットを見てもらえばわかりますが、共産党が実施した痴漢被害アンケート。1435人から回答をもらえたとのことですが、小さく以下のように書かれています。

女性 83%、 男性 3.1% シス以外 7.0%.

出典:「#痴漢ゼロ東京」リーフができました | 日本共産党東京都委員会

日本共産党と言えば、LGBTのレインボープライドパレードに参加したり、#MeToo運動に同調したり、性的マイノリティへの差別解消を提案、主張するなど、マイノリティの声を聴くということを掲げています。

しかし、このリーフレットにもあるように、痴漢被害に遭っているのは多数が女性ではありますが、男性やトランスジェンダーの方も痴漢に遭われています。

「マイノリティの声に耳を傾ける」、「性的マイノリティの人権、生活向上に努める」と言っておきながら、「痴漢被害に遭った男性」、「痴漢被害に遭ったトランスジェンダー」というマイノリティの意見はガン無視で「女性専用車両をつくる!」と言っているのが、僕にはちょっと理解できません。

女性専用車両は「専用」ではない。

女性「専用」車両という名前から、「女性以外の人は入れない」とよく誤解されがちですが、実はそんなことありません。国土交通省も、女性専用車両についての質問に、以下のような回答をしています。

「現行の女性専用車両に、鉄道営業法34条2号の適用は想定していません。女性専用車両は、鉄道事業者が輸送サービスの一環として実施しているもの。法的な強制力はありませんが、利用者のご理解とご協力のもとで成り立っています」

出典:鉄道営業法 -「女性専用車両」男が乗っても法的にはOK | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

以上の回答からあるように、女性専用車両は法律上は男性も乗車が可能なのです。勿論、実際に乗るかどうかは個々の判断ですが。女性からの冷たい視線を浴びるのが怖くなければ、どうぞ乗ってくださいということです。「赤信号みんなで渡れば怖くない」作戦で、「女性専用車両、サラリーマンみんなで乗れば怖くない」。

最近は「見るだけ痴漢」という言葉も生まれてますしね。女性を見たら「痴漢!」と騒がれるっていう。女性専用車両に乗って、冷たい視線を浴びせられたら「痴漢!」と叫んでやればいい(笑)。男性→女性はダメで、なぜ女性→男性はOKなのか。

そんなことはさておき、男性も乗れるのに「女性専用」と謳っているのは、景品表示法違反。法律上問題がないのに、男性を引っ張るなどして強引に降車させようとした場合、降車させようとした人が暴行罪となる可能性があります。そして、降りろと執拗に脅すと脅迫罪、侮辱罪、名誉棄損となる可能性も。

結局のところ「女性優先車両」とすればいいものを、あたかも女性しか乗れないよう誤解させるような「女性専用車両」という名称を使用している鉄道会社が悪いですね。

女性「専用」車両は憲法違反なのではないか

仮に女性専用車両が、本当に女性専用で男性の乗車ができないのであれば、それは日本国憲法に違反するのではないでしょうか。日本国憲法第十四条には以下のような記述があります。

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

出典:日本国憲法 | e-Gov法令検索

日本国憲法は日本における最高法規であって、憲法に反する法律をつくることは許されません。現時点で女性専用車両を認める法律なんてありませんし、それを認める法律をつくるにしても性別によって差別されない、という点で憲法違反になりますし、つくれません。

となると、「女性専用車両に女性しか乗れない」という法律は無いので、本来であれば男性と女性は平等である。それなのに女性専用車両と言って女性しか乗れない(実際は男性も乗れるが)なんて憲法違反です。

なので国土交通省も「女性専用車両に法的根拠はない」と回答したのでしょうね。ここで「女性専用車両に男性が乗車することは違法だ」と回答すると、憲法違反になりますからね。

日本共産党は「共謀罪は違憲だ!」「自衛隊は違憲だ!」「安保法は違憲だ!」と違憲だ違憲だと騒ぎ立てるくせに、法的根拠もない、男性差別を助長するような、違憲状態の女性専用車両を推進していくっていう、このダブルスタンダード。

痴漢の根本的な原因を潰さなければならないのでは

女性専用車両、防犯カメラはともに、痴漢という行為に対してのいわば対症療法でしかないと思います。痴漢がなぜ起こるか、その根本的な原因を潰さなければならないのではないでしょうか。

原因はいくつかあると思います。男側だとストレスがたまっていたとか、性欲をコントロールできないとか。女側だと露出の多い衣服を着ていたとか。

ならば、ストレスを解消、溜めない社会に変えればいいし、露出の多い衣服を着ていたなら、露出の少ない衣服を着ればいい。

そもそも、満員電車で「気づかないだろう」「たまたま当たっただけと言い訳できる」だろうというのも一つの理由でしょうし、だったら満員電車を無くせばいいじゃないですか。

満員電車ゼロ、車両を二階建てにするといった小池都知事は公約を全く果たさず、なぜか2期目に当選しているわけですが。誰ですかこの人に票を入れたのは。

中国「女性専用車両は男性差別だ」と設置を拒否

お隣中国では重慶市の市民が「女性専用車両を設置しないのか」と鉄道会社に問い合わせたところ、鉄道会社は以下のように回答したようです。

「女性専用車の設置は、ルールを守る男性に対する差別、不信につながる」、「女性専用車でない車両を女性が使いにくくなる」、「公共資源の浪費、交通の利便性低下につながる」

出典:「男性への差別になる」女性専用車両の設置を鉄道会社が拒否―重慶市

問い合わせ先は鉄道会社ではあるものの、中国の鉄道は公営なので、事実上、重慶市当局の持論、発表であると捉えられます。

流石社会主義。すべての人が平等と言っているだけありますね()。

裁判所「男性に不利益はないから違憲ではない」

過去に裁判所が「健常な成人男性の乗客に格別の不利益を与えるものといえない」ことから女性専用車両は違憲ではない(請求棄却)と判断をしましたが、どうでしょう。

過去に東急東横線で菊名問題と呼ばれる問題がありました。これは、東急東横線の菊名駅は階段、エスカレーターが1か所しかなく、その階段付近の車両が女性専用車両に指定されたため、隣の車両の混雑が激しくなるという問題です*1

これによって、積み残しが発生し、男性が電車を一本逃すといったこともあったでしょうし、今のご時世、密を避けなくてはいけないのに、女性専用車両が1両あることで、男性は残りの9両(10両編成の場合)に乗車するため、混雑率が悪化する。必然的に密になり、それが原因で感染するといった可能性も否定はできない。

そうなると果たして、「男性に不利益はないから女性専用車両は正当である」という裁判所の判断は正しいと言えるのでしょうか。

 

最後になりますが、勘違いしないでほしいのは、女湯とか女子トイレに男子が入ると違法だが、それは違憲じゃないだろ!というの。いや、それは男湯、男子トイレという、男性専用スペースと女性専用スペースが対等に用意されているから違憲ではないです。

女性専用車両で問題なのは、女性専用のスペースはあるのに、男性専用スペースがない、明らかに女性のみが優遇されているという点です。これは平等とは言えないですよね。平等にするならば男性専用車両をつくるか、女性専用車両を廃止するか、女性「優先」車両と名称を変えるか、この3択なのだと思います。

 

日本共産党が目指しているのは「ジェンダー平等社会」ではなく、女性を優遇、特別扱いする「女性至上主義社会」。それは女性専用車両問題だけではなく、クォーター制の導入を推進しようとしていたり、やたらMeToo運動を取り上げるあたりから伺えますね。

ジェンダー平等といいますが、優遇・特別扱いをすることも一種の差別。平等と優遇を履き違えていませんか?レインボーフラッグ