たきぶろぐ

「大人」になりたくない人の雑記

名古屋地裁 同性婚不受理は違憲と判決。

先日新しいスマホの保護フィルムを貼ったんですけど、気泡が入りまくったりゴミが入りまくったりして、何回か貼り直しをしていたら端っこの気泡がなぜか残り続けてしまいました。

中央とかには大きな気泡がないのでまだいいですけど、フィルム貼りって難しいですよね。でも細かいことが気になるタイプで気泡が少しでも入るときになってしまうので、今後貼るときは多少金を払ってもプロにやってもらおうと思いました。

というか中華系のスマホって最初から保護フィルムが貼ってあるんですけど、PixelとかXperiaとかって貼ってないですよね。ほかのところがどうなのかは知りませんけど、最初から貼ってあると嬉しいですよね。でも中華スマホは買いません。

前置きが長くなりましたが、5月30日に同性婚訴訟に関する新たなニュースが入りました。名古屋地裁が同性カップルの婚姻届を受理しないことを違憲とする判決を出しました。全国で同種の裁判が5件行われていますが、違憲・違憲状態という判決が出たのは札幌地裁・東京地裁に続き、これで3件目です。

名古屋地裁 同性婚不受理は違憲と判決。

ニュースの概要

同性同士が結婚できない現行制度は憲法に反するとして、婚姻届を受理されなかった男性カップルが国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁(西村修裁判長)は30日、個人の尊厳に立脚した家族法の制定を求める憲法24条2項と、「法の下の平等」を定めた14条に違反すると判断した。一方で国会が立法措置を怠ったとは言えないとして、賠償請求は棄却した。

出典:同性婚不受理「個人の尊厳照らし、合理性欠く」 憲法24条違反指摘 | 毎日新聞

日本政府は同性婚を認めていない理由として、日本国憲法第二十四条の「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」という文言を根拠としています。両性はたしかに男性と女性をさす言葉であり、一見合理的な説明のように思えます。

なぜ日本国憲法には「両性の合意」と記されたか

しかし、なぜ「両性の合意」という言葉が入ったかというとそれは決して同性カップルを排除しようとしたわけではありません。日本国憲法が制定する前、日本には家制度があったためと言われています。

家制度の特徴として、家族は戸主の合意が無いと結婚ができないというものがありました。「あの人と結婚したい」と思っても、戸主の同意が無ければ結婚ができませんでした。しかしこれはおかしいよね、となって、「両性」つまりは当事者だけが合意すれば結婚できるようになりました。

つまり、「両性の合意」という文言は、決して同性婚を認めないといったものではなく、あくまでも当事者同士で結婚をできるようにするという趣旨のもの。

だからこそ、今回裁判を起こした方々も「憲法では同性婚を禁止していないのに、婚姻届を受理しないのは憲法違反だ」として裁判を起こしたわけですね。

判決に喜べないワケ

もちろん司法で違憲判決が出ることは、大きな一歩だと思います。しかし、これに喜ぶのは時期尚早だと思います。その理由をいくつかあげます。

与党自民党は同性婚法制化に慎重姿勢

現在の政権与党自民党は同性婚の法制化に慎重な姿勢を見せています。

岸田首相に至っては「同性婚を認めると社会が変わってしまう」という迷言まで出している始末です。これについては当ブログでも過去に触れています。(参考:岸田首相「同性婚を認めると社会が変わってしまう」←ん? - たきぶろぐ)この記事でも触れているのですが、全国の自治体でパートナーシップ制度の導入が進んでいて、社会は変わっているのに、それに追いついていない(追いつこうとしていない)のが自民党。それに、社会を変えるのが政治家の仕事でしょうに。

それに、LGBT理解増進法の制定でも自民党内の保守派から反発の声が上がって、言葉遊びをしている始末。

なので、たとえ野党議員や国民が賛成したとしても、自民党が賛成をしなければ国会で法案は通らないわけで、裁判で違憲という判決が出たからと言って安心できるわけではないです。もしくは政権交代...。

判決の結果は同性婚を法制化する一つの根拠にはなりますが、与党議員の賛同も同性婚法制化には必要不可欠なので、どう賛同を集めるか、理解をしてもらうかというのも考えなくてはなりません。

同性婚の法制化で同性婚が憲法違反になる可能性?

これはあくまでも私見ですが、同性婚を法律で認めるとその法律そのものが憲法違反となる可能性もあるのではないかと思います。

当ブログでも常々書いていますが(参考:「同性婚禁止は違憲」でも同性婚法制化への道は遠い? - たきぶろぐ)、憲法には「婚姻は両性の合意によって」と記されているわけですから、男性と女性でしか婚姻はできないわけです。

いくらこの条文が同性婚を否定していないとはいえ、文面では「両性」となっているわけですから、同性カップルが結婚をすることを法律で認めることは憲法違反となるのではないでしょうか。

集団的自衛権の容認のように憲法の解釈を変更することによってできなくはないかもしれませんが、「両性」を同性も可と解釈するのはかなり強引なように思えます。

回避策としては憲法を改正するか、同性婚ではなく現在も各自治体で導入が進んでいるパートナーシップ制度を国として法制化するか。

パートナーシップ制度はあくまでも婚姻に相当する関係と認めるものなので、婚姻ではない。だから憲法にも違反しないし、法の内容によっては今の税の問題であったり、病院などで面会を拒否されるなどの問題も解消できます。こちらの方が現実的なように思います。

憲法違反ではないという判決も出ている

全国5か所の裁判所で同様の訴えがありますが、違憲判決が出ているのは札幌地裁と今回の名古屋地裁のみ。大阪地裁と東京地裁は同性婚が認められていないのは合憲であるとの判断をしています。

東京地裁は少し特殊で、現在の民法は憲法に違反していないが、同性婚を認めないのは憲法に違反していると判断をしています。つまり、今の法律自体は問題が無いということ。ただ、同性婚を認めないのは「法の下の平等」に反するから、同性婚は認めましょうねという判断です。

地方裁判所では違憲という判断がなされても、上訴され最高裁判所まで行ったら判断が覆る可能性もあります。なので地方裁判所で違憲判決が出て安心するのはまだ早いのではないかと思います。

司法の判断も大事だが、国民の理解が第一

司法の判断ももちろん大事ではありますが、一番大事なのは国民の理解だと思います。

いくら裁判所で憲法違反という判断がなされても、いざ法律や憲法を変えようとしたい際に法案が否決されては元も子もない。最終的に法律をつくるか(または変える)を決めるのは国民です。

なので司法の判断を盾に「裁判所が違憲だって言ってるんだから早く法律つくれ」と上から目線でものをいうのではなく、丁寧に、丁寧に国民に説明し理解をしていただく方が大事だと思います。

そもそも国民の大半が同性婚に賛同していれば、国民から「同性カップルにも結婚させてあげようよ」という声が出て、裁判なんか起こさなくても法律はつくれるわけですから。

裁判では国を相手取ってたたかっていますが、肝心の国民を置いてけぼりにしないようにしていただきたいですね。たたかっているのは国だけではない。

あと、大阪地裁で合憲判断が出された時でしたっけ、「不当な判決だ」と言っていましたけど、自分が納得いかない判決が出たからと言って不当だというのは自分勝手なように思えます。そういった行動を国民は見ていますからね、注意してほしいものです。

真剣に同性婚を認めてほしい人の足を引っ張らないようにしていただきたい。

自民党も判決を無視はできないはず

しかし、自民党も判決を無視はできないはずです。まだ上訴して係争中の裁判もありますが、違憲もしくは違憲状態という判決が5か所中3か所と過半数を超えているわけですから。

それに、上記にもあるようにLGBT理解増進法を制定し、LGBT当事者への不当な差別などを禁止する文言を入れるよう検討しています。それなのに、国が裁判所で違憲であると判決が出ているのに同性婚を認めないとなると、同性愛者の方への差別にもなりかねません。ここで矛盾が生じます。

「差別禁止とか言っている口で、同性婚は認めないっておかしいじゃないか」となるわけですね。

このタイミングでこの判決が出たのは、とてもタイミングが良いなと思います。世間的にもLGBT理解増進法に注目が集まっている中で、同性婚に関する判決が出れば、同性婚に関しての議論が進むきっかけにもなります。


裁判は同性婚を法制化するための一つのステップであって、これがすべてではない。何度も言っていますが、法律をつくるためには国民や国会議員の理解を得ることが大事です。

裁判の判決で一喜一憂するのではなく、しっかり国民と向き合っていくことがこれから求められます。